
カリフォルニアのとあるリゾート地を舞台に、風変りな中年兄妹が経営するモーテルでの想像を絶する猟奇殺人を描く恐怖映画(映画.comより引用)。1980年日本公開作品。監督はケヴィン・コナーで、出演はロリー・カルホーン、ポール・リンク、ナンシー・パーソンズ、ニナ・アクセルロッド。
「想像を絶する猟奇殺人」とは、人肉ハム製造です。物凄くグロテスクで怖い話になりそうですが、殺人鬼の中年兄妹(カルホーン、パーソンズ)の風貌が、ちょっと変わっている田舎者なので、ほのぼのしています。同じ人肉食品製造業者である『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』の二人とは、どえらい違いです。
旅行者を捕まえ、殺して食べる殺人鬼という設定は、『悪魔のいけにえ』のパクリです。本作には、豚皮のマスクを被ってチェーンソーを振り回す“レザーフェイス”まで登場するので、言い逃れはできません。しかし、チェーンソーでチャンバラをやるネタは本家である『悪魔のいけにえ2』に先行するという、小さな奇跡が起きています。
『悪魔のいけにえ』に比べ、本作では緊張感や不快感のないユルい展開が続きます。しかし、殺人鬼に襲われるのは都会から来たチャラチャラした連中であり、田舎者がヒッピーをヘイトして殺害する『悪魔のいけにえ』や『イージー・ライダー』を踏襲しています。これらの作品は、アメリカの田舎は保守的であり、その閉鎖性や排他性が狂気を増長させることを象徴的に表現しているのです。
★★★☆☆(2016年8月17日(水)DVD鑑賞)
信仰心が厚い兄は、いい歳して童貞なんだろうなあと想像して観ました。