
不死の生命力を持つ吸血鬼のミリアムは生きた時代ごとに愛する者を見つけ、自分の仲間にしていた。ニューヨークに暮らす今の相手は、18世紀のイギリスで見つけたジョン。ミリアムは吸血鬼になることを条件に彼にも生命力を与えていたが、200年以上も若さを維持することは不可能だった。衰えを感じ始めたジョンは老化を研究している女医サラに会うが……(映画.comより引用)。1984年日本公開作品。監督はトニー・スコットで、出演はカトリーヌ・ドヌーヴ、デヴィッド・ボウイ、スーザン・サランドン。
現代ニューヨークを舞台にしたヴァンパイア物です(実際の撮影は、主にロンドンで行われたそうですが)。フランス出身のドヌーヴとイギリス出身のボウイは、アメリカ人から見れば異邦人ですから、ミステリアスなヴァンパイア役には適しています。
血を吸わないと老化する設定なので、ジョン役のボウイは出演シーンの多くを老人メイクで演じます。それで「ボウイはどこ?」という結果になります。ボウイは撮影前に大声で歌って声を潰し、老人らしい声にするという役作りをしたそうです。ミュージシャンが本業なのに、役者としてのプロ根性を見せます。
本作はトニー・スコットの初監督作品です。実兄であるリドリー・スコットが、『エイリアン』や『ブレードランナー』でアート性を評価されるのに対し、トニーは『トップガン』や『クリムゾン・タイド』など娯楽色の強い作品を手がけているという印象を受けます。しかし、本作はトニーもアート性の強い映画を作れることを証明しています。
勝手な想像ですが、リドリーとトニーは似た映画的資質の持ち主だったのではないのでしょうか。それで、先に監督デビューしたリドリーとのキャラ被りを避けるため、トニーは意図的に異なる方向性を模索したと思うのです。何故こんな想像をしたかと言えば、元々得意分野が重複していた、おすぎとピーコは、おすぎは映画に、ピーコはファッションに分業することによって、キャラ被りを防いだという話を思い出したからです。我ながら、スコット兄弟とおすピーを同一視するのは、どうかと思いますけど。
★★☆☆☆(2016年7月30日(土)DVD鑑賞)
製作年を考慮すれば、特殊メイクがよくできている映画です。