
恋人に裏切られた女と客の金を使い込んでしまった証券マンとの愛の逃避行を描く(映画.comより引用)。1988年公開のにっかつロマンポルノ作品。監督は石井隆で、出演は桂木麻也子、小林宏史、泉じゅん、柄本明、竹中直人。
竹中演じる村木が証券マンであるという設定は、『ヌードの夜』でデジャヴ感を生じさせます。しかし、本作のラストからすれば、両作品は明確にリンクしていると断定することはできません。それぞれの村木は、パラレルワールドな関係にあると考えます。
石井作品は「名美と村木の悲しい愛の物語」であり、その背景には雨が付き物です。本作においても、二人の出会いのシーンは、変わった形で「雨」を演出しています。また、二人には水のイメージがつきまとい、性交シーンで体液の絡み合う音が強調されるのも、その一部です。
本作は、にっかつロマンポルノ終焉の年に公開されました。その一時代の終わりとともに、石井は映画監督として第一歩を踏み出し、数多くの作品を発表していきます。本作には、それまでの『天使のはらわた』シリーズとの繋がり、それからの作品群との繋がりを見出すことができるという楽しみがあります。
★★★☆☆(2016年7月18日(月)インターネット配信動画で鑑賞)
村木が名美を廃墟で追いかけるシーンは、ホラー映画的です。