【映画評】ダメおやじ | じゃんご ~許されざるおっさんの戯言ブログ~

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このブログは、田舎で暮らすおっさんの独り言を日々書き綴っています。ブログタイトルの「じゃんご」とは秋田弁で「田舎」のことで、偶然にもマカロニウエスタンの主人公の名前でもあります。何となく付けてみました。お時間があれば、広い心で御覧になってください。

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何をやってもダメな万年平サラリーマン、通称ダメおやじと、夫の出世を願いダメおやじをシゴく妻、通称オニババとその子供が捲き起す喜劇(映画.comより引用)。1973年公開作品。監督は野村芳太郎で、出演は三波伸介、倍賞美津子、新藤恵美、吉田日出子、小山田宗徳、伊東四朗、三遊亭円楽、浅香光代、大宮敏充。
 
古谷三敏原作の漫画を実写化した作品です。主演の三波伸介と同じ、てんぷくトリオの伊東四朗、三波が司会を務めた「笑点」メンバーの五代目三遊亭円楽、三波が参加していた浅香光代一座の浅香光代と、三波に縁がある人物が出演しています。
 
古谷三敏と言えば、ほのぼのファミリー漫画という印象が強いですが、『ダメおやじ』の連載前半は、ダメおやじへの過激な虐待描写が売りになっていました。当時の古谷は赤塚不二夫のフジオ・プロダクションに所属しており、師匠のアナーキーさに影響されていたようです(実際に連載初期は、赤塚が代筆していたとのことです)。
 
映画の方は、ファミリー路線の松竹製作ということもあり、命に関わるような虐待描写は、ダメおやじ(三波)の被害妄想内の出来事として処理されています。その被害妄想の演出は、野村監督の『八つ墓村』での小川真由美や、『鬼畜』での岩下志麻を思わせるほど怖いものがあります。
 
ダメおやじを虐待するオニババ役は倍賞美津子で、原作のビジュアルと異なって綺麗です。しかし、身体能力を生かしたハードな責めは、光るものがあります。流石はアントニオ猪木の元嫁であり、アマゾネス(『3年B組金八先生』)です。
 
松竹で野村監督と三波主演という組み合わせは、『男はつらいよ』の山田洋次監督と渥美清主演の組み合わせを意識したような気がします。三波は、同じ浅草フランス座出身の渥美をライバル視していたそうです。テレビ界で成功した三波が映画界で渥美と勝負するため、自分と縁のある出演者を用意して最強布陣で乗り込んだのかと思ってしまいます。しかし、三波は映画界で大きな成功を収めることなく、1982年に52歳で急逝することになります。
 
本作で昭和の喜劇人、三波伸介を知りましょう。
 
★★★☆☆(2016年6月20日(月)DVD鑑賞)
 
原作『ダメおやじ』も連載後半は、ほのぼのファミリー路線になりました。
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