
ごく普通の生活を送っていた女性ルーシーは、台北のホテルでマフィアの闇取引に巻き込まれてしまう。マフィアは、人間の体内にある物質を埋め込み、その人間を海外に送り出すことで物質の密輸を行おうとしていたが、ルーシーの体の中でその物質が漏れ出すアクシデントが発生。その影響により、普通の人間なら全体の10%しか機能していないと言われる脳の機能が、徐々に覚醒していく。脳の覚醒率が上がるに従い、超人的な力が解放されていくルーシーは、自分と同じような人間を二度と生み出さないためにも、マフィアの計画を阻止するために動き始める(映画.comより引用)。2014年日本公開作品。監督はリュック・ベッソンで、出演はスカーレット・ヨハンソン、モーガン・フリーマン、チェ・ミンシク、アムール・ワケド。
ベッソン監督なので、『TAXi』や『トランスポーター』のような軽快アクションを期待すると、後半からトンデモな展開になります。銃撃戦やカーチェイスは、BGMの使い方などがスタイリッシュで、ベッソン映画らしいのですが。
ルーシー役を演じるヨハンソンのムチムチ肉感が良いです。『アベンジャーズ』のブラック・ウィドウ役でも、肉感的な体をタイトな衣装に包み、派手なアクションを見せてくれましたが、本作でもムチムチ肉感健在です。ベッソン映画のヒロインは、『ニキータ』のアンヌ・パリローや、『ジャンヌ・ダルク』のミラ・ジョヴォヴィッチのようにスリムなモデル体型が定番だったので。意外なキャスティングです。
脳機能が覚醒し、超人化していくルーシーですが、その描写はツッコミどころが多いです。“中学男子の魂を持つ男”ベッソン監督にSF的教養がないのは、『フィフス・エレメント』で証明済みです。脳機能の覚醒率が上がると、超能力(念動力)が使えるようになるのか。脳機能の覚醒率に応じて、使用するパソコンのスペックも急激に向上するのか。それらの現象に納得できる科学的説明は与えられません。「何かカッコ良くね?」というノリだけで演出しているかのようです。
終盤でルーシーが「神」の領域に近づき、機械と融合していく様を見ていると、日本のアニメである『AKIRA』や『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊』の影響も感じます。フランスでは日本のアニメや漫画が人気ですから、ベッソン監督も何らかの刺激を受けたのかもしれません。それでも、ビジュアルのカッコ良さ先行で、その奥にある哲学的部分には触れていない気がします。
そのようなトンデモ展開を見せながらも、ベッソン監督の刻印がある物語になっています。ヒロインが超人的な能力を有し、ショボい男(本作ではワケド演じるデル・リオ警部)が傍観するという設定は、『ニキータ』、『フィフス・エレメント』、『アンジェラ』と同じですからね。
★★★☆☆(2015年10月15日(木)DVD鑑賞)
『レオン』のナタリー・ポートマンも、ある意味モデル体型です(というか子供なだけですが)。