『孤独のグルメ2』という漫画を読みました。

以前『孤独のグルメ』について、このブログで紹介しました。第1巻単行本の発売が18年前で、「月刊PANjA」初掲載が21年前です。『孤独のグルメ』が世に出た時に産まれた子が、もう成人です。その間も根強いファンに愛されてきました。
第2巻の内容を列挙してみましょう(裏表紙に載っています)。
第1話 静岡県静岡市青葉横丁の汁おでん
第2話 東京都新宿区信濃町のペルー料理
第3話 東京都品川区東大井の冷やし中華とラーメン
第4話 東京都三鷹市下連雀のお茶漬けの味
第5話 東京都世田谷区下北沢路地裏のピザ
第6話 鳥取県鳥取市鳥取市役所のスラーメン
第7話 東京都世田谷区駒沢公園の煮込み定食
第8話 東京都文京区東京大学の赤門とエコノミー
第9話 東京都千代田区有楽町ガード下の韓国料理
第10話 東京都渋谷区松濤のブリ照り焼き定食
第11話 東京都千代田区大手町のとんこつラーメンライス
第12話 東京都荒川区日暮里繊維街のハンバーグステーキ
第13話 フランス・パリのアルジェリア料理
第2話 東京都新宿区信濃町のペルー料理
第3話 東京都品川区東大井の冷やし中華とラーメン
第4話 東京都三鷹市下連雀のお茶漬けの味
第5話 東京都世田谷区下北沢路地裏のピザ
第6話 鳥取県鳥取市鳥取市役所のスラーメン
第7話 東京都世田谷区駒沢公園の煮込み定食
第8話 東京都文京区東京大学の赤門とエコノミー
第9話 東京都千代田区有楽町ガード下の韓国料理
第10話 東京都渋谷区松濤のブリ照り焼き定食
第11話 東京都千代田区大手町のとんこつラーメンライス
第12話 東京都荒川区日暮里繊維街のハンバーグステーキ
第13話 フランス・パリのアルジェリア料理
2009年から2015年まで、「週刊SPA!」に不定期掲載されたものをまとめたものです。前巻とのリンクがあって面白いです。
例えば、第1巻第1話「東京都台東区山谷のぶた肉いためライス」で、主人公・井之頭五郎は豚肉いためと豚汁で豚肉ダブりというミステイクを犯しました。第2巻第1話で五郎は、芋ダブりというミステイクを犯します。食に対して真摯に向き合うあまり、食欲が理性に勝った結果です。ちなみに第1巻第15話「東京都内某所の深夜のコンビニ・フーズ」で、五郎は卵トリプルダブりという更に高度なミステイクを犯しています。
他にも、第1巻第5話「群馬県高崎市の焼きまんじゅう」で回想した、五郎のかつての恋人・小雪との思い出が第2巻第2話「東京都新宿区信濃町のペルー料理」で更に掘り下げられます。また、第1巻第12話「東京都板橋区大山町のハンバーグ・ランチ」で見せた、五郎のアームロックが第2巻第4話「東京都三鷹市下連雀のお茶漬けの味」で再度披露されます(五郎の祖父は古武術の達人という裏設定があるそうです)。
20年もの時をかけて、井之頭五郎の人間像が徐々に明らかになる、長編大河ドラマのような作品です。しかし、20年以上も経つと、作風に変化が生じることは否めません。第1巻の表紙をご覧ください。

第2巻の五郎が少し細身になっています。第1巻第13話「東京都渋谷区神宮球場のウィンナー・カレー」で甥っ子・太の応援に行った五郎は、炎天下の猛暑で上半身裸になった時、見知らぬおじさんに「あんたいい体してるねえ」と言われるほど筋肉質だったはずです。また、五郎の「心の声」にも変化が見られ、駄洒落の使用率が多くなり、軽さが増したような気がします。
原作者・久住昌之と作画者・谷口ジローの加齢による作風(画風)の変化と言ってしまえば、それまでの話です(ちなみに第2巻第6話『鳥取県鳥取市鳥取市役所のスラーメン』で、鳥取市が舞台になるのは、谷口が鳥取市出身だからだと思います)。
しかし、私は異説を唱えます。それはテレビドラマ版『孤独のグルメ』が原作にフィードバックされたからだという説です。ドラマ版で五郎役を演じるのは、長身細身の松重豊です。松重の体型に合わせれば、五郎の体型も細くなります。また、ドラマ版では松重の強面な風貌とのギャップを楽しむため、「心の声」は軽いコミカルな要素を強調しています。ドラマ本編後のミニコーナー「ふらっとQUSUMI」に毎回出演している久住は、ドラマの影響を受けても不思議ではありません。
近年、映画化やテレビドラマ化に当たって、原作を台無しにするような改変が加えられることは「原作レイプ」と呼ばれます。それに対し、『孤独のグルメ』の場合、テレビドラマに合わせて原作の方が変化するという「逆原作レイプ」が生じていると思うのです。世間のグルメブームの逆を行くスタンスで連載を開始した『孤独のグルメ』だけに、この点でも世間の流行に逆らっているとすれば、何か愉快な気持ちになります。
個人経営の輸入雑貨商のおっさんが一人飯を食べる様子を淡々と描いた漫画でありながら、様々な思いを巡らすことができます。第2巻も度々読み返す、私のお気に入り本になりそうです。
テレビドラマ版Season5が今クール(10~12月)放送中です。
『孤独のグルメ』Season1 http://www.tv-tokyo.co.jp/kodokunogurume1/
『孤独のグルメ』Season2 http://www.tv-tokyo.co.jp/kodokunogurume2/
『孤独のグルメ』Season3 http://www.tv-tokyo.co.jp/kodokunogurume3/
『孤独のグルメ』Season4 http://www.tv-tokyo.co.jp/kodokunogurume4/
『孤独のグルメ』Season5 http://www.tv-tokyo.co.jp/kodokunogurume5/