
仕事も、家族も、女さえも、およそ愛することから離反して彷徨する無目的なヒーローに焦点を合わせ、『イージー・ライダー』で見据えたアメリカの“現在”に再度挑戦する(映画.comより引用)。1971年日本公開作品。監督はボブ・ラフェルソンで、出演はジャック・ニコルソン、カレン・ブラック、スーザン・アンスパッチ。
『イージー・ライダー』のスタッフとキャストが重複しているので、何となく「夢よもう一度」感が拭えません。『イージー・ライダー』が低予算映画でありながら傑作となり得たのは、時代背景も含めた諸要素が奇跡的な化学反応を起こしたからです。奇跡は滅多に起こらないからこそ奇跡なのです。
ニコルソンが走行中のトラックの荷台でピアノを演奏する、クレイジーな演技は面白かったです。しかし、全般的にBGMを多用しないリアル志向で、盛り上がりに欠けます(この演出も『イージー・ライダー』の二番煎じのように感じます)。本作のような男の物語は、非現実的なコメディ映画にした方が楽しかった気がします。
何故なら日本では、定職に就かず、家族から疎まれ、恋愛は片思いに終わり、全国を彷徨する国民的ヒーローが長年愛されてきましたから。「姓は車、名は寅次郎」のあの人のことです。
★★☆☆☆(2015年9月12日(土)DVD鑑賞)
邦題は「アメリカの男もつらいよ フーテンのニコルソン」です(嘘)。