「やる前に負けること考えるバカいるかよ!」という心意気で書いているTシャツ秘宝館です。
今回はアントニオ猪木Tシャツです。

FRONT

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試合後の「いつものやつ」をやる姿です。今は亡き「紙のプロレスRADICAL」の読者プレゼントでゲットしたものです。
アントニオ猪木と言っても、ヤングライオン、じゃなくて若い世代だと「国会で大声出しているジジイ」程度の認識しかないと思います。とんでもない話です。猪木は日本プロレス史に燦然と輝く名レスラーです。
その猪木が現役引退を機に出版したのが『猪木寛至自伝』(文庫版『アントニオ猪木自伝』)です。

猪木の凄さを闘魂伝承するため、エピソードを引用してみましょう。まず一家でブラジルに移住した猪木が力道山にスカウトされ、日本プロレスで修行していた頃の話です。
ブラジルにいたころ、一日の労働が終わると、ドラム缶に沸かした風呂に入る。汗を流して心地よい解放感に浸っていると、どういうわけだかムスコがぐんぐん大きくなってくる。こっちは何の知識もないから、これは異常だと悩みに悩んだ。
「俺は体も大きいから、あそこまで大きくなってしまった……」
ブラジル時代は自分を慰めることも知らないので、もう、ただただやたらに夢精していたのである。だから女の「お」の字も知らない。
初体験は十七歳のとき。日本に帰ってきてからだ。
あれはデビュー前、熊本に地方巡業に行ったとき、大木金太郎に連れられて遊び場に行って、無事童貞を捨てた。大木さんには誠に感謝している。
文中の大木金太郎とは、猪木、ジャイアント馬場とともに「若手三羽烏」と呼ばれ、有望視されたレスラーで、猪木のデビュー戦の対戦相手でもあります。得意技は一本足原爆頭突きです。
さて、次はアメリカ修行時代のエピソードです。
レスラーにも仲間が出来た。試合のない日曜日に、モンゴリアン・ストンパーが自宅に招待してくれたことがある。
彼の家には見たことのないほど巨大な冷蔵庫があった。それを開けたら、物凄い量の人参がぎっしり入っていた。普通の人参である。
ストンパーはその人参を取り出してはジューサーにかけ、人参ジュースを作る。それを特大のジョッキで御馳走してくれるのだ。
その気持ちが嬉しくて、私はジョッキで六杯飲んだ。
そうしたら――翌日から異変が起きたのである。ムスコが元気になってしまい、三日三晩立ちっぱなしになってしまったのだ。これには困った。試合のときも一向に衰えないのである。試合中にそうなってしまうとどうなるかを想像していただきたい。いやあ、あれには本当に苦労した。
モンゴリアン・ストンパーはカナダ出身で、ストンピング(踏みつけ攻撃)を得意としたレスラーです。モンゴル出身ではありません。いいじゃないですか。キラー・カンだって新潟県出身ですよ。
自伝に二つも「ムスコ」絡みのエピソードを入れる猪木。ファンとしては、そんなエピソードより、もっと知りたい大事なことがあるにもかかわらずです。しかし、猪木にとっては、これこそ重要なメッセージです。「元気があれば何でもできる」の言葉どおり、猪木にとっては元気が一番。「ムスコ」絡みのエピソードは元気の自己アピールです。
老人議員がショック死する危険を恐れず、国会で「元気ですか!!」と絶叫するのも、国政を担う国会議員を、更には国会中継を見ている国民を元気づけるためです。
そんな猪木の思いを知ってか知らずか、同僚の門博文議員との路上キス写真を撮られた中川郁子議員や、未成年男性の買春疑惑が報じられた武藤貴也議員のように、元気の使い道を間違っている国会議員がいることは非常に残念なことです。