
第二次大戦から同じ故郷に帰還した3人の復員兵が社会復帰へ奮闘する姿を、それぞれの家族や恋人といった人間模様を絡めて描いたオスカー作品賞受賞のヒューマン・ドラマ(Yahoo!映画より引用)。1946年製作で1948年日本公開作品。監督はウィリアム・ワイラーで、出演はマーナ・ロイ、フレデリック・マーチ、テレサ・ライト、ダナ・アンドリュース、ヴァージニア・メイヨ、ハロルド・ラッセル。
帰還兵の一人を演じたラッセルは、本当に戦争で両手を失った帰還兵です。特撮などではありません。リアリティを重視したワイラー監督は、彼に余計な演技指導をせず、自然体で演じさせたそうです。その結果、ラッセルは米国アカデミー助演男優賞を受賞しています。
帰還兵の苦悩や悲劇を描いた映画は、多々あります。『西部戦線異状なし』では、愛国心を熱弁する老教師に駆り立てられた若者が戦場へ出征します。戦場の悲惨さを体験した若者は、帰還後、自分を英雄扱いし、戦争に利用しようとする老教師に反感を覚えます。
『ジョニーは戦場に行った』や『キャタピラー』でも、不具者となった帰還兵が描かれています。戦争によって青春や日常生活を奪われながら、戦争の現実を知らない周囲によって英雄や軍神として祭り上げられます。彼らの内面に戦争の真実があります。
本作のような反戦映画が、戦争の記憶が生々しい1946年のアメリカで作られたことの意味は大きいです。敗戦国がその惨禍を忘れないために反戦映画を作るのではなく、勝利に喜ぶべき戦勝国が作ったからです。結局、戦争に勝者も敗者もいません。ただ名も無き民が傷つくだけです。
★★★☆☆(2015年6月13日(土)DVD鑑賞)
同時期に日米でどんな映画が作られていたか調べるのは興味深そうです。
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