【映画評】スミス都へ行く | じゃんご ~許されざるおっさんの戯言ブログ~

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このブログは、田舎で暮らすおっさんの独り言を日々書き綴っています。ブログタイトルの「じゃんご」とは秋田弁で「田舎」のことで、偶然にもマカロニウエスタンの主人公の名前でもあります。何となく付けてみました。お時間があれば、広い心で御覧になってください。

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急死した上院議員の後任として田舎から担ぎ出されたスミス氏。政界の事情を知らない彼を議員に祭り上げようという政治家たちの目論見をよそに、彼は積極的に政治活動を始める。ある日議員の汚職を知った彼は、それを議会で追求しようとするのだが……(映画.comより引用)。アメリカ公開は1939年、日本公開は1941年の作品。監督はフランク・キャプラで、出演はジェームズ・スチュワート、ジーン・アーサー、クロード・レインズ。
 
三谷幸喜脚本、田村正和主演のテレビドラマ『総理と呼ばないで』の元ネタの一つとも言われています。政治ドラマというと、山本薩夫監督の『金環蝕』のようなドロドロした作品もありますが、本作はコメディ色もある軽めの作品です。
 
素晴らしき哉、人生!』のキャプラ監督なので、テンポ良く物語が展開します。特に後半の議場内外の様子をクロスカッティング的に描く展開のテンポの良さは、観る側をドキドキさせます。
 
議員汚職を追求するスミス(スチュワート)に対し、腹黒い政治家たちは偽装工作で犯罪者に仕立て上げたり、マスメディアで情報操作して世論誘導したりと、制作から70年以上も経った現代と変わらぬ政界の姿を見せます。そんな汚れた現実に立ち向かう純粋な主人公は、『フォレスト・ガンプ/一期一会』にも通じるアメリカの理想像です。
 
スミスの理想主義は、ベイン議員(レインズ)を改心させ、ハッピーエンドに終わりますが、それは映画という夢の世界の出来事です。そこには「現実の世界は違う」という諦念があり、「だからこそ夢を追う」という希望があります。
 
本作が作られた時代、日本では1938年に国家総動員法が制定され、1940年に大政翼賛会が成立しました。当時の日本人は、圧力に負けず理想を貫いたスミスの姿をどう捉えたのでしょう。そして、現代の私たち日本人は、そのスミスの姿をどう捉えるべきでしょう。
 
★★★★☆(2015年4月29日(水)DVD鑑賞)
 
『星の王子ニューヨークへ行く』など、この手のタイトルの映画は多いですね。
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