
2214年、地球に5千年に1度の危機が迫っていた。タクシードライバーコーベンと、地球を救うというモンドシャワン星人の細胞から生まれた美女リールーは宇宙へと旅立つ(映画.comより引用)。1997年公開作品。監督はリュック・ベッソンで、出演はブルース・ウィリス、ゲイリー・オールドマン、ミラ・ジョヴォヴィッチ。
ベッソン監督は、少年時代から本作の構想を温めており、それを実現する制作費(約100億円)を稼ぐために、やっつけ感覚で『レオン』を作ったそうです。監督本人にとっては、本命とやっつけ仕事の関係にある両作品ですが、後者の方が高評価であるという逆転現象が起こっています。
本作は、SF作品にしては設定に粗が多く、ストーリー展開も雑です。ガキの頃の妄想を実現したのですから、当然の結果です。コメディ部分も笑えず、オカマDJ役のクリス・タッカーの演技には、ムカついて殺意を抱きます。
そもそも、世間はベッソン監督について大きな勘違いをしています。フランス出身で、『グラン・ブルー』をミニシアターでヒットさせた実績により、オシャレでセンスがある監督のように思われていますが、それは違います。製作と脚本を務める『TAXi』シリーズや『トランスポーター』シリーズで顕著なように、B級アクション好き、もっと言えば、東映プログラム・ピクチャー的センスが溢れる中学男子の魂を持つ男です。両シリーズを掛け合わせれば、フランス版『トラック野郎』シリーズになります。そう考えると、本作は東映が『スター・ウォーズ』人気に便乗して作った『宇宙からのメッセージ』と変わりません。
つくづく「制作費が100億円もあれば、もっとマシな映画をたくさん作れたのに…。」と思います。今秋公開が予定される三谷幸喜監督のSFコメディ、『ギャラクシー街道』の免疫をつけるために観ておくのがいいでしょうか。
★☆☆☆☆(2015年3月16日(月)DVD鑑賞)
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