
3人の表現者(写真家の荒木経惟、舞踏家の麿赤児、ファンションデザイナーの荒川眞一郎)と、少女と男の純愛ドラマで構成する映像詩(映画.comより引用)。2000年公開作品。監督は園子温で、出演は鈴木卓爾、澤田由紀子、津田牧子。
園監督は詩人という顔も持つので、言葉を大事にします。激情して台詞を言うシーンでも、何を言っているか分からないということはありません。『冷たい熱帯魚』で殺人鬼役を演じた、でんでんは決して滑舌が良い役者ではありません。しかし、同作での彼の台詞は、聞き取りにくくありません。
本作に登場する3人の表現者の表現物は、虚身(うつしみ)です。写真も舞踏も衣服も形になった瞬間に、その実体を喪失します。言葉もまた同じく、言葉となった瞬間に抜け殻となり、言葉を発した実体は既にどこかへ移動しています。それでも、園監督は虚身の果てに向かって、映画という表現を通じ、とにかく走り続けているのです。
★★★☆☆(2015年1月23日(金)DVD鑑賞)
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