
ハイジャックされた有人宇宙連絡船“ムーンレイカー”をめぐって、ジェームズ・ボンドがベニス、リオ、アマゾンそして大宇宙へと飛び出し、地球人類抹殺を企む謎の組織に挑むシリーズ11作目(映画.comより引用)。1979年公開作品。監督はルイス・ギルバートで、出演はロジャー・ムーア、ミシェル・ロンダール、ロイス・チャイルズ、リチャード・キール。
5作目の『007は二度死ぬ』がトンデモ映画になったので、何とか軌道修正しようと頑張ってきたが、またトンデモ映画になってしまったのが本作です。『007』シリーズお得意の軽妙なジョークに加え、他作品のパロディも入っています。キール演じるジョーズと金髪メガネっ娘のエピソードは『フランケンシュタイン』ですね。
しかし、こうした笑いの要素が生きるのは、シリアスな展開の中に投入されるからです。トンデモ展開の中に投入されても、笑いが埋没気味です。公開当時の観客は、本作をマジと捉えたか、それともギャグと捉えたかが気になります。『オースティン・パワーズ』を観ている後世の私は、「ボンド宇宙へ行く」的な展開をギャグと捉えてしまいます。
そもそもシリアスかギャグかという、ジャンル分けが不毛なのかもしれません。特にシリーズ物である本作の場合、「ボンド映画」が一つのジャンルで、そこにアクションやコメディやSFの要素が含まれていると考えるべきなのでしょう。基本を崩さず、時代の空気を入れ替えることで長持ちするのが、シリーズ物の強みです。
それでも、本作はツッコミどころ満載のトンデモ映画として楽しめます。
★★★☆☆(2014年12月24日(水)DVD鑑賞)
年末年始はシリーズ物を一気に観る機会です