[ニューヨーク/ロサンゼルス 25日 ロイター] - 北朝鮮の金正恩第1書記暗殺計画を描いたコメディー映画「ザ・インタビュー」が25日、全米300以上の映画館で公開された。サイバー攻撃を受けていったん公開見送りを決定した配給元のソニー・ピクチャーズエンタテインメント(SPE)が今週方針を転換し、上映を決めていた。
映画館の運営者や後援者は、恐れることは何もなく、初日は特に問題は発生しなかったと明らかにした。ロサンゼルスなどの劇場では、チケットが完売。同市の映画館では午前0時半からの上映を待ち構える観客が列を作り、言論の自由と選択の自由への支持を表明するために来たなどと語った。
また、北朝鮮はこの映画を戦争行為と批判しているが、ファンの多くは「ただのコメディー」と表現した(Yahoo!ニュースより)。
映画館の運営者や後援者は、恐れることは何もなく、初日は特に問題は発生しなかったと明らかにした。ロサンゼルスなどの劇場では、チケットが完売。同市の映画館では午前0時半からの上映を待ち構える観客が列を作り、言論の自由と選択の自由への支持を表明するために来たなどと語った。
また、北朝鮮はこの映画を戦争行為と批判しているが、ファンの多くは「ただのコメディー」と表現した(Yahoo!ニュースより)。
【ここから私の意見】
2008年の『靖国 YASUKUNI』上映危機騒動を思い出しますね。中国人監督によるドキュメンタリー映画が「反日映画」のレッテルを貼られ、右翼による映画館周辺の街宣活動、匿名の嫌がらせ電話攻撃により、トラブルを恐れた映画館が上映中止する事態に陥ったという騒動です(サイバーテロ攻撃はありませんでした)。結局、心あるミニシアター系劇場で上映させることになりましたが、この時、上映中止を訴えた連中は作品を観ることなしに評価して暴挙に出たのですね。はっきり言ってバカです。
時の権力者への風刺コメディの名作は、『チャップリンの独裁者』です。第二次世界大戦後、ホロコーストなどのナチスの歴史的凶行が暴かれる前に、映画人チャップリンが権力者ヒトラーの危険性を喜劇という形で批判した作品です。この映画でナチスドイツの独裁者ヒトラーは実名で登場しません。トメニアの独裁者ヒンケルとなっていますが、それとなく本人を連想できます。実名を使用しなかったのは、トラブルを回避するという意図もあったでしょうが、説明しなくても本人を特定できる観客の知性への信頼と、時代を超えたメッセージの普遍性があったからだと思います。
さて話題の「ザ・インタビュー」もコメディ映画ですが、北朝鮮の金正恩氏が実名で登場します。そこに観客の知性への信頼はあるのでしょうか? 時代を超えたメッセージの普遍性はあるのでしょうか? 北朝鮮をテロリスト国家とするアメリカ政治に阿ったバカ映画になってはいないでしょうか?
北朝鮮敵視の立場から、上映中止を表現の自由への侵害とし、上映に賛成した日本人に聞いてみたいです。もし北朝鮮、韓国または中国が、実名で天皇陛下暗殺計画を描いたコメディ映画を上映しようとしたら、表現の自由の名の下、それに賛成しますか? 論理を首尾一貫させるならば、感情論は抜きにして上映中止は主張できないでしょうね。