
ナイアガラ瀑布を舞台に、不倫が原因の殺人事件を描くサスペンスドラマ(1953年公開)。監督はヘンリー・ハサウェイで、出演はマリリン・モンロー、ジョセフ・コットン、ジーン・ピータース。
観光地で殺人事件が起こるサスペンス物というと、テレビの2時間サスペンスのようでもあります。「日光湯けむり華厳の滝殺人事件」みたいな感じです。現代のTVドラマの源流が、こうした過去の名画にあります。
モンローは本作でもセクシーさをアピールしています。伝説のモンローウォークを披露しています。ただ悪女役を演じるには物足りなさを感じますけれど。天は二物を与えないものです。
本作には明確な主人公が存在しません。ピータース演じる人妻中心に物語を展開すれば、それこそ2時間サスペンスにありがちな奥様探偵物になりますが、そうではありません。モンローもコットンも主人公とは言えません。ちなみにコットンは『第三の男』で「死んだはずの友人が実は生きている」という謎に巻き込まれる男を演じています。それを踏まえて観ると、本作の配役が意味ありげになります。
本作の主人公はナイアガラ瀑布です。広大で絶えず落ち続けるナイアガラの滝は、ちっぽけな人間の悩みや諍いを、ただ達観していたのでしょう。
★★★☆☆(2014年12月12日(金)テレビ鑑賞)
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