孤独のグルメ | じゃんご ~許されざるおっさんの戯言ブログ~

じゃんご ~許されざるおっさんの戯言ブログ~

このブログは、田舎で暮らすおっさんの独り言を日々書き綴っています。ブログタイトルの「じゃんご」とは秋田弁で「田舎」のことで、偶然にもマカロニウエスタンの主人公の名前でもあります。何となく付けてみました。お時間があれば、広い心で御覧になってください。

『孤独のグルメ』という漫画があります。
 
イメージ 1
 
これは単行本バージョン。現在は入手が難しいレア本です。
 
扶桑社から出ていた月刊PANjA平成6年8月号から平成8年4月号まで漸次連載されていた異色のグルメ漫画です。原作は久住昌之で、作画は谷口ジローです。
 
本作が世に出た当時までグルメ漫画と言えば、少年誌では『包丁人味平』(原作:牛次郎、漫画:ビッグ錠)や『ミスター味っ子』(作画:寺沢大介)などありましたが、どこかキワモノ感がありました。青年誌で本格的なグルメ漫画として有名なのは、何と言っても『美味しんぼ』(原作:雁屋哲、作画:花咲アキラ)でしょう。
 
奇を衒った見世物的オリジナル料理やキャラクターの濃い料理人など登場せず、食に関する薀蓄情報に溢れた大人向けのグルメ漫画として、世間に定着しました。「究極」とか「まったり」という言葉は、この作品で広まったようなものです。その影響力は強く、最近では福島の放射能汚染問題を扱い、物議を醸しました。
 
これ以上、『美味しんぼ』の話をすると、興奮して鼻血が出そうになるので、『孤独のグルメ』の話に戻します。『孤独のグルメ』は、輸入雑貨商の井之頭五郎が仕事で訪れた街で飯を食うというシンプルな漫画です。食に関する薀蓄情報はありません(五郎さんのこだわりはあります)。世界三大珍味も幻の食材も出てきません。第1回は「東京都台東区山谷のぶた肉いためライス」です。その他には回転寿司やコンビニ・フーズなど、私たち庶民でも手が届き、味に対する共感を得られる料理しか登場しません。
 
五郎さんは一人で行動するので、台詞の大半は五郎さんの主観的な心の声になります。当然です。食い物屋で独り言をブツブツ呟きながら飯を食っていたら、それはただの危ない奴です。『美味しんぼ』の海原雄山みたいに食事中に怒鳴っていたら、料理に唾が飛ぶので何とも礼儀知らずな奴になってしまいます。五郎さんの食事スタイルは、“おひとりさま”の外食の良き見本になっています。
 
この食に対し、一対一で向き合う五郎さんの生活に彩りを与えるのは、谷口ジローの画力です。五郎さんが訪れる街並みや飲食店の風景を、細部に至るまで精密な筆致で表現します。それは食そのものだけでなく、その周辺の物事も味の思い出の一部になるということです。同じ物を食べても、その時の状況やコンディションによって味の印象が変わるということは、よくありますからね。
 
高級オシャレ化し、したり顔で薀蓄を語る俗物が蔓延る食の世界に対するアンチテーゼとして登場した本作は、題名に「グルメ」という言葉を付けながら、その概念への批判となっており、私は度々読み返しています。
 
イメージ 2
 
これは文庫本バージョン。お求めやすくなっております。
 
TVドラマ化もされています。原作のスピリットを壊さず、別の魅力を出しています。
 『孤独のグルメ』Season1 http://www.tv-tokyo.co.jp/kodokunogurume/
 『孤独のグルメ』Season2 http://www.tv-tokyo.co.jp/kodokunogurume2/
 『孤独のグルメ』Season3 http://www.tv-tokyo.co.jp/kodokunogurume3/
 『孤独のグルメ』Season4 http://www.tv-tokyo.co.jp/kodokunogurume4/
 
「孤独のグルメ」を読んでみたいと思った方はこちらでお求めを
イベントバナー