
やくざ者の日本兵が主人公の娯楽戦争映画(1964年公開)。詳しいストーリーは映画.comで。監督は石井輝男で、出演は高倉健、朝丘雪路、杉浦直樹、砂塚秀夫、津川雅彦。
石井監督と健さんにとっては、『網走番外地』シリーズで飛躍する前の助走と言える作品。溌溂と饒舌な健さんの姿に、不器用で寡黙な健さんしか知らない世代は驚くでしょう。
設定が勝新太郎主演の『兵隊やくざ』に似ているので、東映のパクリかと思ったら、本作の方が先に公開されています。まあ、西部劇の名作『駅馬車』をパクったシーンはありますけどね(ラストシーンが『気狂いピエロ』より先だと思うのは深読みです)。
朝丘や三原葉子が慰安婦役を演じています。彼女たちは陽気で生命力溢れる女性として描かれています。このような女性像は石井作品共通のもので、その場末感も含め、三原が常連女優としてハマっています。それを差し引いても、戦前戦中世代の作り手は戦時の記憶が鮮明で生々しく、反戦の思いは現代の私たちより強いはずですから、絶望的状況に苛まれる慰安婦として描くこともできたでしょう。しかし、そうしなかったことに「悲惨な性奴隷としての従軍慰安婦」というイメージを世界中に喧伝する韓国にとって不都合な真実があるような気がします。
★★★☆☆(2014年11月6日(木)DVD鑑賞)
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