水草を入れないベアタンクで鑑賞する魚に求めるのは、
一匹一匹が主役級の見応えがあって、美しく、迫力があるべきと考えてます。
そのためには、食を落とさない事、健康に育て上げる事が必須です。特に幼魚時期は体型の土台作りにもっとも必要です。
さて、前回の「過密飼育の是非」について、今回も引き続き進めてまいります。一部、前回の記事と重複する箇所もあります。ご了承ください。
水質管理から考えると、『過密飼育』つまり水槽の大きさ(水量)に対して、個体数が多ければ多いほど、餌と排出されるフンであっという間に水質は悪くなります(→要メンテナンスが必須)
同時に個体数を増やし過密にすることで、以下のメリットも挙げられます。
①競争意識により食欲が増す→同じ餌の飽きがない。
②完食スピードがあがる→給餌サイクルが早くなる
③残餌が出ない→劣化した餌を食べない+水質維持
④怯えない、走らない(水質良の状態)→ストレス要因の除去
⑤縄張りを作らない(作れない)→ストレス要因を除去
このように、デメリットもメリットも兼ね備えてます。
メリットも多いことながら、一方でメンテナンスをさぼったり、タイミングを間違えてしまうと、たちまち水質悪化→ストレス+食欲減退→成長不良につながるなどの危険性もはらんでます。つまりは諸刃の剣てやつです。
なので過密飼育下で大量の餌を消費する幼魚育成時では、
一日一回、全換水に近い量の水替えをおすすめします。大変ですが給餌後(1時間後くらい)に換水することで、消化も早くなり、換水によりまた食欲が湧くので更に給餌サイクルも良くなります。
結果的に成長が早くなります。そして幼魚時期は縦に伸ばす重要な時期なので、赤虫を多く与えます。競争意識が高く食欲も増幅することから、同じ餌を沢山与えても飽きません。
この時期は、いかに赤虫を多く消費させるかを考えて、私はこの方法をとってます。
(この方法で、良い結果となった例 2匹↓)
毎日の水換えは大変でしたが、1年ほど努力すれば個体もそれに応えてくれます。
過密にすることで、食欲が上がるという仮説を証明するのに、以下の事を試しました。
30匹ほどの幼魚を10匹ずつ計3セットに分けて、しばらく飼育しました。
① 600x450x450水槽に10匹
② 900x450x450水槽に10匹
③ 1200x450x450水槽に10匹
各水槽に幼魚10匹ずつ入れて、同じ飼育方法で一定期間観察。
一番餌食いが良かったのが①、次いで②、
最後に③ですが、こちらは餌食いが極端に悪く、翌日も残餌がありました。個体も落ち着きがなかったです。
幼魚の成長速度も早いことから、
一週間ほどでそれぞれの水槽にいれた兄弟魚たちの大きさに優劣がはっきりしてきました。
③の10匹を②の水槽へ入れてみると、
(900x450x450水槽に計20匹)
入れた瞬間から餌食いがよくなり、振動や人影にも怯えなくなりました。
最後に①の幼魚も②の水槽へ入れてみると、
(900x450x450水槽に計30匹)
さらに餌を食べるスピードが上がり、個体の落ち着きもさらに良くなり、物怖じしなくなりました。
かなり過密になり、毎日全換水による物理的な水質浄化でしたので、水質維持は大変でしたが、個体サイズの優劣もなく、均等に大きくなりました。
これが正解とはいいませんが、幼魚時の一番成長速度が早い時期はこの方法が良いのではないでしょうか。
ディスカスを大きくする上(幼魚の時期)で、
「水槽が大きければ大きいほど良い」というのは、ある意味、間違いなのかもしれません。