9月1日火曜日 午前7時20分
おはようございま----------す!!!!という元気な声と共に3人の元気な看護婦さんが入ってくる。
ヘトヘトでフラフラな私とは正反対なテンション。
はーい、起きますよー!
歯磨いてください。(洗面台から持ってきてくれる。)
身体ふきまーす。
たたき起こされたばかりの私は言われるがまま。
看護婦: えー、服びしょびしょやーん!なんでこんななの!どうしちゃったのーー
AKI: 昨夜も交換してもらったんですけど、ドレーンから液が漏れてるんですよね・・・これ、普通?
看護婦: 普通じゃない!でも、仕方ないね、交換しまーす。傷口も消毒するねー
私のお腹には4つの絆創膏と、管が右腹から1本。この管は糸でお腹に縛られていて、その周りには大きなガーゼと、耐水のはずの大きなテープが張られています。
ここは慎重に4つの絆創膏をはがしてくださる。見てみると、傷口はそれぞれテープで固定されていて、その下には、糸で縫われているのが透けて見える。
冷たい消毒液をしゅっしゅっしゅーーーーーと。
私は横たわってされるがまま。すると
看護婦: シーツ交換するので起きてくださーい!みんなで助けるので大丈夫ですよー!立てるかなー?まずはベッドの端に座ってください。
お腹に空気が溜まって苦しい。下から圧がかかって、お腹全体が痛い。
腹腔鏡手術の際に、ガスでお腹を膨らませて空洞を作って作業するため、そのガスがまだ残っているため。
動いて身体の色んな方向に散らさないと、ガスが上まで上がってきて、肩がものっすごく痛くなるらしい。
座っただけで吐きそうなのに、
看護婦: よし!(よしとちゃう。)そしたら立ちますよーーー! 1、2、3!
こちらの心や身体の準備は全く関係なく立ち上がらされる。
フラフラーーー 身体中の血がなくなっていく感覚。
人ってフラフラすると目をつぶる習性があるのか、頻りに目を開けてくださーい!まっすぐ前を向いてー!と言われる。
AKI: き、気持ち悪いです...
看護婦チーム: 無理そう?手術はいつだったの?
AKI: 昨日です
看護婦チーム: 今日は座ろう!立ち上がれたじゃん!okok あとは、血栓予防の注射しまーす。
と、太ももに注射。
私は立ち上がることさえできない自分にびっくり。そしてがっくし。
やることすべて終えた看護婦チームは隣の部屋へと移動していき、室内には再び静けさが訪れる。
もう、そっとしといてくれよ、と思いながら、一休み。
新たなルームメイトがやってきた。
手術は今日らしい。とっても若い女性で、子宮筋腫。
午前8時55分 朝食
看護婦: ミルク粥ですー。コーヒーかお茶、どっちがいいですか?
AKI:コーヒー飲んでいいんですか?なら、コーヒーで。
毎朝のルーティーンなので、飲めば少しは元気になるかなーと思ったけれど、これがおいしくなくて、より気分が悪くなる。
ミルク粥は頑張って全部いただいたけれど、ヨーグルトまでは食べられず。
というのも、ベッドが電動じゃないから自力で起き上がらなくてはならなくて、でも右手には痛い点滴が刺さったままで、体重を支えられない。傷口やドレーンの刺さっている場所が痛くて、座る体制をとるのにやっと。座ったら座ったで、お腹が痛くて、その体制を保持できないのです。
何もかもが苦しい。手術翌日だから、仕方ないか。
さっき食事を持ってきてくれた看護婦さんが戻ってきて、明日は何を食べたいか、と聞いてくれる。
毎日聞かれます。大体2つ3つずつくらいチョイスがあって、それを登録して翌日持ってきてくれます。
術後の経過や、お腹の調子も相談すると一緒に考えて、カスタマイズしてくれたりもします。
と言っても、日本の入院食とはえらい違いなので、皆様、こうご期待。
ちゃんと食べないと元気にならないよ!と言って、去ってゆく。
抗生物質か鎮痛剤だかなにかを点滴されると、急に体温が上がって、汗だくになる。
狭い血管に装着されているためか、新たな点滴を注入されるたびに、手首がドクドク言って、爆発しそうに痛い。
本当に痛い。何をする元気もない。
1日中うとうと。途中でお掃除のお姉さんが来たような来てないような・・・
午後12時30分 昼食
食事担当の人は、一日中食事担当なのかな。朝の看護婦さんが配膳してくれる。
どーん。
こ、これは・・・笑。衝撃的。ヴュルツブルクの検査入院の後の食事並みに衝撃的でした。でもソーセージ好きやから、いいんです。
ソーセージだけは残さず食べました。スープはちょっと残した。
とにかく座っているのがつらい。お腹の圧迫。
何時だったか忘れたけど、病棟医が訪問に来ました。
昨日のオペについて聞きたいこといっぱいあったけれど、頭が回っていなくて聞けず。そのうちDr.Mが来てくれるだろう。その時に聞こう。
午後4時 チームナース再登場
調子はどうですかー?
お熱と血圧を計って一言。
お熱と血圧を計って一言。
チームナース: ちょっと立ってみますか?リベンジ?!
また気持ち悪くなるのいやだなー・・・という気持ちを抑えて、挑戦。午前と同様、1、2、3、で立ち上がる。
チームナース: どうどう?いけそう?そのまま歩きますよー!目開けて、前向いて!
2歩歩いたのち
AKI: は、吐きそう・・・・
チームナース: お、それは困る!ベッドに戻りまーす。ゆっくりね。頑張った頑張った!歩けたやん、上等です!お水たくさん飲んでください。ご飯も食べてくださいね。じゃないと回復しないよ!!!
このプチ成長に感激する反面、自分ではまだ何もできない自分に苛立ちと落胆。大げさだと言われるかもしれないけれど、今まで割となんでも自分でやる!というタイプだったので、瓶の一つさえ自分で開けられない、ちょっと遠くにあるものをとることさえできない自分にイライラして、そして無力さに悲しくて泣いてしまうほどでした。
水の飲め飲めっていうけどさ、なんでそんな遠くに瓶おくの?なんで蓋開けておいてくれないの?と、しくしく泣いた。←今読むと面白い。笑。
毎晩毎晩同じで、弱っている日本人には全くほしくないものばかり。暖かいおうどんがいい。卵粥がいい・・・涙。
普段は喜んで食べるパンも、チーズも、ハムも、この時の私にはまったくおいしくなかった。
頑張って口に入れても、飲み込むことがつらくてつらくて。座っていることもつらいので、1セットだけたべて、ギブアップ。
ヨーグルトは食べました。笑。
午後に手術から帰ってきた隣の女の子は、とっても元気に歩き回っている。
なのに彼女のベッドは電動なのです。
神様、私が何をしたというのですか?この試練はなんなの?と、ちょっとしたことで泣けてくる。情けない。←これも今考えるとちょっとおもしろい。
そのあと消灯。
午後8時45分
看護婦さんが、左手の緊急用の血管ルートを抜いてくれる。
抜いた後、強く抑えてくださいって言われるけど、その力もなくて、自分でびっくり!!!!!そしてまたがっくし。
明日はロべちゃんがオーディションなので、頑張れメッセージ。
待ちに待った大切なオーディションなのに、私の病気のせいで、ロべちゃんも心身ともにぐったり、とても歌える心理状況ではない。
私はパートナーとして、迷惑しかかけていない、足引っ張ってるだけで申し訳ない。辛くなって、ひとりで泣いた。泣いてばっかり。
この気持ちは、体の痛みよりも痛くて、辛い。本当に。
でも私にできることは何もなくて。それがさらに辛いのでした。
つづく・・・
ご質問もお待ちしています