カオスなオーディションのお話。 | DIVAKIへの日々〜ドイツ在住劇場専属オペラ歌手 辻井亜季穂の日記

DIVAKIへの日々〜ドイツ在住劇場専属オペラ歌手 辻井亜季穂の日記

DIVAを夢見て大修行!!ソプラノ辻井亜季穂の、ときどき日記!
ドイツ在住オペラ歌手の日常生活のあれこれを綴っています。
最近は、 去年の夏に経験した病気についてまとめ中。
多くの方の、ご自身の健康を考え直す機会になりますように。

まず、先週届いたThüringer Opernstudioの
オーディション招待メールにはこう書いてありました。

2月28日14時、Erfurt劇場。
• 来れるかどうか連絡ください
• ピアニストと前もって練習できるように、当日は時間通りに来てください
• 待ち時間があることも理解してください
• 更衣室と練習部屋に限りがあることをご了承ください
• 当日キャンセルの場合は○○に電話してください。
4曲のアリア、1つはモーツァルト、また1つはドイツ語のものを用意してください。


私は13時45分に劇場に到着。
守衛さんが"3階の3部屋が練習室です。"と。
3階へ行くと、それぞれの部屋の前には列。
みんなピアニストさんとの稽古待ち。
稽古をしないと、伴奏してくださるピアニストが決まらないので
オーディションが受けられないというシステムだそうです。
私も部屋の前で待つはいいけれど、気付いたら誰もいない!ピアニストもいない!

14時集合ではなく、オーディション自体が14時開始だったみたいです。
みんな、自分が何時に、何番目に歌うか知らないので
とりあえず約束の、メールに書かれてあった14時に舞台横に集まってみたけれど、結局情報は何も得られず。
私はとにかくピアニストと稽古しないと行けないのでもう一度3階へ。
やっぱり誰もいない。
だって、ピアニストさんたちは今他の人のオーディションで舞台で弾いてるんですもの。(怯)
そこでまた別の歌手の方から情報を入手。
一定人数弾き終えたピアニストは部屋に戻ってくるので、それまで待つのみ。だそう。。。

ひたすら待っていたら、来ました、ピアニスト!!!!!
慌てて私の出番を確認するも、彼も知らない。
とりあえず稽古してもらって、15時くらいには舞台横に居ればいいよ!きっと。
と、テキトーな感じ。
真面目な日本人の私。言われるがままに、15時前に、舞台横へ。
私よりもずっと前に稽古を済ませた人たちも
まだ歌っておらず、みんな待っています。

私、ほんまに15時台に歌えるん?

不安になりながら、待っていたら、また誰かから情報。
舞台の中にいる、おじさんが紙を持ってて、順番知ってるよ!
けど、なんか、アルファベット順みたいやよ!と。

そのおじさんに漸く出会えて、そして確認。

私 : 私、出番何時ですか?
おじさん: あなたの名前は?
私 : TSUJII
おじさん : あ、まっだまだだよ!一番最後じゃん!17時くらいだね。わはは。
私 : 。。。ええええええええええ

待ち疲れ、不安疲れ。
他の歌手たちはカンカン!
誰も、何の情報も知らない、何時にどこへ行けば良いのか、
どこが更衣室で、どこが舞台なのか
どの順番で歌うのか、何時頃なのか。

なんで、紙一枚書けないわけ?!

口を揃えて言っていました。笑。

本当、あれはちょっとひどかった。
来年Thüringenを受ける方、もしコレをお読みでしたらお気をつけくださいまし。
とにかく早めに行くことです!そうすれば、ピアニストさんとゆっくり稽古もできる!

肝心の演奏は、そうですね。。
響きを味方につけられなかったことが心残りですが
大きなミスは無く、緊張しすぎることもなく、なんとか歌えました。

演奏後、講評と、とりあえずの合否が告げられ、解散でした。
私への講評は、とても素晴らしかった。気に入りました。とだけ。
ホンマカ、オイ!?
と思いつつも、ありがとうございます、と。笑。
そして、"とりあえず"今日は合格。

とりあえずというのも、6人の合格枠に対して、今回のオーディションで24人が選ばれました。
ここから2週間の間に劇場が来シーズンの演目を決め
それぞれの役に合う歌手がいるかどうかで、最終合否を決定するそうです。

ここまで来たら、あとは良いか悪いかじゃなくて
相性、縁の問題。

期待しすぎず、次へ次へ、がんばります。

Akiho