スターウォーズ エピソード8/最後のジェダイ | 映画物語(栄華物語のもじり)

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「映画好き」ではない人間が綴る映画ブログ。
読書の方が好き。
満点は★5。
茶平工業製記念メダルの図鑑完成を目指す果てしなき旅路。

 

 ★★★☆☆

 余計なことをして死人が多大に増えた話。

 

 

 巷では賛否両論巻き起こっている本作。私の率直な感想としては「スター・ウォーズってこんなもんじゃね?」である。前作がスター・ウォーズにしては面白すぎたのである。あと『ローグ・ワン』も。

 賛否両論が起こっているのは頷ける内容で、話があっちいったりこっちいったり、行き当たりばったり、味方になったり殺しあったり、と「〜たり、〜たり」と「たり」の正しい使い方の見本のような内容である。感覚としては、昔のジャッキー映画をはじめとした香港映画のストーリー構成をちょっとだけよくしたような感じで、上映時間が長い割に(あるいは長いからこそ)まとまりのないような印象を受ける。つまり、疲れる。一言で例えれば女子の「今日あったこと」を聞いているような感覚である。話があっちこっちいって、長い。

 私は映画作品のみではあるがスター・ウォーズシリーズ全作を鑑賞済みである。それを踏まえて『スター・ウォーズ』ファンでは全くない。むしろ「つまらないとは言わないが面白いともそんなに思わない」と思っており、下手したら「つまらない」寄りですらあるかもしれない。それが、前作でヘタに期待値が上がっちゃったもんで、本作でがっかりしちゃったところがある。賛否両論起こっているのは、つまりは「スター・ウォーズファンは満足だし、ファンというほどではないがそれなりに好きという人には不満」といった感じではないだろうか。で、「それなり派」は前作が面白かっただけに期待値の調整に失敗したのではないかろうか。 

 本作に関する他のブログを読んで非常に納得した言葉に「前作の監督が広げた大風呂敷を、本作の監督が頑張って畳んだ」というものがあり、この言葉が全てを表していると考える。150分を超える上映時間も、伏線を頑張って回収していったらこんなに長くなっちゃった〜これ以上削れないんですよ〜という監督の叫びが聞こえてくるようである(実際はどうだかもちろん知らないけど)。

 ストーリーも、上記のような様子から、一回見ただけでもツッコミどころが満載である。ほんとである。雑なストーリーもさることながら、とにかく味方の作戦も敵の思惑も雑で、その雑さで多くの人間が死んでゆくのである。敵も味方ももっと人の命を大事にすべきであると見ていて思う。わかりやすいくらいの悪の一味である敵だけでなく、主人公達レジスタンスにも人命を軽んじる傾向がある。人が死ぬと悲しむわりには。

 概要を簡単に説明できないほど話があっちいったりこっちいったりするのだが、それでも頑張って簡単に説明すると、

 

・パイロットの主人公→物語冒頭で無茶な作戦を決行して多大な死人を作り出し、その後上司を信用できなくて勝手な作戦を決行した結果さらに死人を増やす(でもみんなあんまり気にしてない)

・元敵の主人公→整備士の女と敵船に潜入して失敗して愛が深まるがだからなんやねん。特に成果なし。

・じぇだいの女主人公→ルーク(旧三部作の主人公)のもとで修行しレッスンが3つと言われるが2つのみの消化で終わる。敵のカイロ・レンとネット恋愛の末に実際に再会したらラブずっきゅんだったもののネットで育んだ愛は長続きしないのであった。スター・ウォーズシリーズに出てくる女性の中で断トツにかわいい。相変わらずかわいい。肉付きがエロい(最低な発言)

・人望があるのにイマイチ成果を挙げられないレイア姫→宇宙空間に放り出されるも宇宙船に戻ってくる。フリーザ様!?

・すっかり弱気になっちゃった元主人公ルーク→かっこいい死に様。でも幽霊となって次も出てきそう。

・ポスト・ダース・ベイダーのカイロ・レン→「なんやねんそのヘルメット」とボスにからかわれ、怒ってヘルメットを壊す。

 

 この中でも注目すべきなのは、パイロットの主人公「ポー」である。よく考えるとこいつが立てた作戦が失敗したせいで、宇宙船から「石の惑星」へ逃げる輸送船が撃墜されて大勢が死んだのである(元敵の主人公と整備士を敵艦に潜り込ませる→失敗して捕まる→成果は出ないし味方の被害が拡大するし)。ただ更にいえば、もとはといえばポーにそういう作戦なのだときちんと教えてあげなかった代理指揮官が一番悪いともいえる。なぜ出し惜しみをしたのか不明。この作品では、人の気持ちと命は経費が余っている会社の消耗品のように扱われるのである。

 また、シリーズの常によって、最初の字幕が超肝心である。この字幕はささっと流れていく割には、前作と今作の間にあった重要な出来事をびっくりするくらいサラッと解説するので、決して読み飛ばして良いものではないのである。まあ大体が「前作で頑張ったけど、いろいろあってやっぱりピンチになりました」という内容であるが。『スター・ウォーズ』シリーズのパターンは大体これで、「前作で一つカタをつける」→「今作ではピンチから始まる」というテンプレートが存在する。あんなに頑張ったのに、アナキンだろうがルークだろうがレイだろうが、主人公達は常にピンチなのである。

 いろいろな考察をするほど、またできるほど私はスター・ウォーズシリーズに思い入れがないのでこの辺にしておくが、とにかく「これがスター・ウォーズだ!」と私は納得したので、別に良いと思うのである。スター・ウォーズファンは納得し、そうでない者はイマイチだと感じる作品であるが、それは今に始まったことではない。それこそがスター・ウォーズなのである。

 

 

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