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ラッパを鳴らすのにエアは要らない?

確か一昨年くらいに、マウスピース制作で有名なBob Reeves氏の通訳を担当したのだが、彼はタイトルのようなことを言ったのです。彼は楽器の設計にも携わっていて、設計の時には管体の両側に音源とマイクを付けてその共鳴を確認するようなのです。だから楽器にマウスピースを付けてポンっと叩いて「ほら今ペダルCが鳴っただろう?今エア使ったか?」なぁんていうことを仰るわけです。つまり、管を振動させ、その共鳴を必要な時間だけ持続させるに充分なエアがあれば良い、ということなんでしょうね。また、試してみると分かりますが、チューニングスライドを抜いて、リードパイプの先に手をかざして楽器を吹いて、音域を徐々に上げて行くと、かざしている手には上に行けば行く程リードパイプから流れる空気の量が減って引っ込んで行くような感覚が実感できます。求められるパワーは息の量ではないことがここからも推察できます。
youtubeでのラファエル.メンデスのデモを見ていると、ワンブレスで40秒くらい吹いてしまいます。Bob Reevesはメンデスのことも知っているし、自分が楽器の製作に関わる中でさっき言ったようなことを口にするのでしょう。なんだか禅問答みたいでつかみどころがないのですが、クラークのテクニカルスタディのほとんど全てがppというダイナミクスで指示されていることからも、エアの量ではなく、「管体をきちんと鳴らすこと」が大事だということも推察できます。

でも難しいんだよなぁ。

ラッパの音量とはいかにあるべきか

どうもラッパは野球の応援やらなにやらで、とにかく「音のデカい楽器」というイメージが強い。これにハイノート指向が加わると、「デカい、高い」というのが凄いという世論が醸成されて、なんだか巨根願望みたいになるから始末に困る。

ところでこんな映像がyoutubeにある。
http://jp.youtube.com/watch?v=JwBHhK7k5Q0
Wynton MarsalisとDoc Cheathamのプレイ。1994年ってあるから、ドクはこの時89歳だった。

どう?ウィントンも別に抑えて吹いているわけでもないし、ドクと互角でしょう?私は95年にドクの90歳のバースデイギグをNYCで見ていますが、彼がとりたててラウドだというわけでもなかったです。実にチャーミングな音楽でした。

そう。普通にmfくらいのボリュームで吹けば良いのです。どうしても向こうの人のライブとかではPAで持ち上げられてしまい、もの凄いパワフルに聞こえるのですが、現場は違うんですね。これはラッパという楽器に対してあるイメージによる錯覚なんです。特にアマチュアの方に顕著ですが、基本的に日本のブラスプレイヤーの音量はちょっとラウドに過ぎる感じがします。

ラッパを吹くというと、

大抵の方から「肺活量要るんでしょう?」って聞かれることが多いし、楽器を始めたばかりの人からもそういう言葉が聞かれることがあります。

人並みの肺活量があれば充分なんです。

もしラッパの技量と肺活量が比例するのであれば、世間で名手と呼ばれる人の多くが大きな胸郭だったりするわけですが、そんなことは全然ありません。それに循環呼吸をマスターしてしまえばブレスしないで延々といけるので、肺活量の大小なんて関係なくなります。

大事なことは自分の呼吸器官の効率をできるだけ良い状態にしてエアをコントロールすることなんですね。