MOONGLOWから45年 僕の中の少年から35年+1 | 愛は限りなく ~DIO, COME TI AMO~

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一粒の雨にさえ心揺れることもある。いつもどんな時も心閉ざさずに…。

5月4日(土)に学生時代の友人N氏と会食した際、やり取りしたのはクイズだけでは勿論ありません。

山下達郎さんのアルバムが話題に出たのは申すまでもないでしょう。

そこで本日はNさんにとっての「MOONGLOW」(1979年)と「僕の中の少年」(1988年)がどのような存在かじっくり訊いてみました。

なお、発表40周年のサウンドトラック「BIG WAVE」(1984年)と同じく35周年のライヴ・アルバム「JOY」(1989年)はあまり思い入れがないとのことなので、次善の措置として上記2作品としました。

ただし、N氏が達郎さんの熱心な聴き手でない訳はなく、ナイアガラ・トライアングルやナイアガラ関連の作品もほぼ全て所有されており、その点では私よりも遥かに詳しいと言えます。

 

 

私:まず「MOONGLOW」からいきますが、これは山下達郎さんも認めているように「Go Ahead !」(1978年)の延長線上に位置するアルバムです。

 

N氏:それはわかるが、言われているほど弾けていない、ファンクではないと思います。

例えば“Let’s Kiss The Sun”は洗練されてはおらず、「SPACY」(1977年)の影を引きずっており、やや元気がない。

良く言えば、落ち着いた感じ。

 

私:?????

 

N氏:“Touch Me Lightly”は後年キングトーンズのカヴァーを聴いて良さがわかった。

 

私:(実際にその場でヘッドフォンを通して聴かせてもらう)素晴らしい出来ですね。

 

N氏:でしょ?

リード・ヴォーカルのファルセットと隠し味的に入る女声コーラスがとても美しいですよ。

 

私:ただ、前作に入っていた“This Could Be The Night”と比較できません。

あれはオールディーズ風、まあハリー・ニルソンが敢えてオールディーズ風に作ったのであって、本来の古典、スタンダード曲とは違います。

曲調もまるで異なっており、あれはニルソンのカヴァー、こちらは書き下ろしです。

そこは延長とは言え、英語の曲がひとつ入っている程度の共通点。

 

N氏:なるほど…。

“YELLOW CAB”は何度も聴く気になれません。

一方「Go Ahead !」収録の“Paper Doll”は完成度が高く、完璧なファンク。

 

私:う~ん、ボズ・スキャッグスの「シルク・ディグリーズ」(1976年)の延長線にあるのが「ダウン・トゥ・ゼン・レフト」(1977年)で、私はどちらも気に入っており、「Go Ahead !」と「MOONGLOW」も同じように受け取っています。

 

N氏:ボズに関しては同意するけど、達郎さんはどうも弱い気がする。

とりわけ、最後の3曲(B面3~5)を比較すると、どう頑張っても「MOON…」は「Go…」に勝てない(苦笑)

 

私:確認しておきたいのですが、最初にお聴きになったのが「RIDE ON TIME」(1980年)、その後すぐ遡って「MOONGLOW」と「GO AHEAD !」を同時鑑賞された…これで間違いないですね?

 

N氏:ご名答。

いや、正確に言えば、「RIDE ON TIME」の次は「FOR YOU」、そして「Greatest Hits ! Of Tatsuro Yamashita」(1982年)でした。

けど、こんな手抜きな聴き方はアカンと思い、その2枚へと遡った次第です。

リアル・タイムでもなければ、完全な後追いとも違う、少し特殊な聴き方かも。

 

私:では、「僕の中の少年」はどうですか?

 

N氏:好きなアルバムです。

「MOON…」の何倍も聴き込みました。

1曲目の“新・東京ラプソディ”はとにかくノリがいい。

それだけで気に入りましたね。

 

私:自分にとっては5本の指に入る傑作です。

エフェクトを掛けたエレクトリック・ピアノや合いの手に入るハーモニカ、クラベスがとても都会的で、本当に古き良き東京を表していて何度も聴きたくなります。

 

N氏:話はわかるが、東京生まれでない私には、そこまで感情移入できない(苦笑)

“Get Back In Love”は名曲。

しかし、達郎さんには他にもバラードの傑作がたくさんあり、これ単体で聴けばともかく、抜きん出た存在とは感じない。

と言って、当然劣ってはいませんが。

“踊ろよ、フィッシュ”は普通に良い曲。

アルバムもそうだが、CMで散々聴いた…。

 

私:それね、気になっていた点です。

シングルは買っていなかったものの、CMで流れた曲があり過ぎて、アルバムを買う前に知った形になりました。

にも拘らず、アルバムの収録曲は全部で9曲だったでしょ?

そこが最大の不満点です。

 

N氏:そもそもCMは短いフレーズしか流さないけれど、一番印象に残る“美味しい部分”を切り取るから、後で全編聴いても新鮮味に欠ける結果となりますね、確かに。

でも、収録時間は短過ぎることはなく、私は逆にCDだからと10何曲ねじ込んだアルバムの方が苦手だ。

大抵の場合、最後の方はクオリティの低い作品が来てしまい、印象に残らなくなります。

 

“ルミネッセンス”はピンと来ない。

どうも打ち込みのサウンドが耳に付く。

当時流行っていたジャム&ルイスの得意としていたリズム・パターンに影響を受けたのはわかります。

もう一方のベイビー・フェイスも同系統の作曲家だったが、もっと歌を生かせる術を知っていた。

 

“マーマレード・グッバイ”は良い曲ですが、少々変わった作風ですね。

これライヴで再現するのが難しそう。

実際、コンサートで演ったことはありますか?

 

私:一度もありません。

このリズム(ベース・ライン)を頼りに正確な音程で歌うのは難しいと思います。

当然素人考えですよ(笑)

それと、アレンジを大幅に変えない限り、ライヴでサウンドのメリハリを出すのが困難に見えます。

ちなみにライヴでの披露曲は、“新・東京ラプソディ”“Get Back In Love”“蒼氓“そして表題曲の4作。

 

N氏:“蒼氓“は良いし、大好きです。

もっと言えば、バラードはこれひとつでも良かったくらい。

“Get Back In Love”が先に来ているので良いが、逆だったら“蒼氓“の歌詞の意味が薄れてしまう…。

 

私:つかぬことをお尋ねしますが、アルバムはCDで聴かれました?

 

N氏:CDです。

だから、A面B面を気にせず頭から聴いた訳ですよ。

 

私:私は長い間ミュージックテープだけで愉しんでいました(笑)

と言って、わざわざB面から聴き始める野暮はしませんでした。

 

N氏:最後のアルバム表題曲…ちょっとだけ良い曲。

先ほども言ったように、CMは一番良い箇所を切り取るので、後から聴くと冷めるという弊害がある。

まあ、アルバム全体としては、幸福だった頃の自分を思い出す、優れたアルバムです。

今でも気分の良い時に聴きますよ。

 

「MOONGLOW」も含め、あれこれ語りましたが、達郎さんには飛び抜けた駄作がなく、敢えて気になった点を挙げただけ。

世間一般で言う、『どうしようもない失敗作』とは意味が違います。

例えば、イーグルスの「ザ・ロング・ラン」(1979年)やフリートウッド・マックの「牙(タスク)」(1979年)とは根本的に異なる。

もっとも、「タスク」は1枚もので発売しておけば、もっと違ったアルバムになった可能性があります。

 

私:どうもありがとうございました。

 

N氏:あっ、ちょっと待って。

「僕の中の少年」の初回盤CDはプラケースじゃなく、当時としては珍しいデジパック仕様だったんだ。

だから、趣が感じられて嬉しかったが、歌詞カードと言うかブックレットを取りにくいのが難点でした。

 

 

 

 

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Ibaraqui, le 10 mai 2024