2010年 ベスト10冊 | ほんのにちようび

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心に残った本のあらすじと感想をつづります。

(時に映画、マンガ、音楽などについても)

去年はちょっとした読書会(?)みたいなのに参加していたこともあり、ふだんよりたくさん本を読みました。


総読書数:207冊


[2010年のベスト10冊]

船に乗れ!/藤谷治 →殿堂入り

 ・・・これはぶっちぎりで2010年ベスト。ここ5年を振り返ってもいちばん良かったんじゃないかというぐらい、私の好みどまんなかです。中高一貫校の音楽科に通う生徒たちの青春小説。音楽に打ち込む日々の豊かなディティールと、残酷なまでの青春の痛みの描写が素晴らしい。


本格小説/水村美苗 →殿堂入り

 ・・・恋愛小説部門の2010年ベスト。英語もろくに話せないままアメリカに渡り、アメリカ人のお抱え運転手から億万長者へと成功していった東太郎という男。常に孤独な影を背負った彼は、日本での重い過去を振り切るように渡米したのだった。そんな彼の激動の半生が周囲の人によって語られていくのだが、その構成の巧みさといったら。物語自体も実に重厚で、まさに「本格小説」の名にふさわしい。


花と火の帝/隆慶一郎 →殿堂入り

 ・・・隆慶一郎の未完の遺作。後水尾天皇に向けられた徳川家の陰謀と、天皇の尊厳をかけて戦う八瀬童子(天皇の駕籠をかつぐことを許された人→天皇の側近)たち。歴史小説というよりは伝奇小説という方が近いかな? インド人とか呪術とか色々出てきて、キャラの濃い人たちが戦いまくります(笑)。


空飛ぶタイヤ/池井戸潤

 ・・・トラックで死亡事故を引き起こした運送会社の社長が、自分のせいにされた事故の原因が実は車両の欠陥にあったと知り、大手自動車会社のリコール隠しに対して徹底的に立ち向かう話。このあとしばらく池井戸潤にはまった。基本的には弱い立場の人が巨悪に立ち向かう話ばっかりなんだけど、わかっててもやっぱりスカっとするんだよなあ。


永遠のゼロ/百田尚樹

 ・・・この人はとにかくうまい。浅田次郎に匹敵する(いや、超えるかも)泣かせの才能があるな。特攻隊ものという鉄板の「泣かせ」テーマなんだけど、予想外のラストなんかもしくまれていたりして、とにかく脱帽。2011年も目が離せません。


リテイク・シックスティーン/豊島ミホ

 ・・・「女による女のためのR-18文学賞」(ちょっとエッチな小説)で受賞してデビューしたのに、その後は基本的に「冴えない青春」ばっかり書いてた豊島ミホ。そんな彼女の真骨頂であり、休筆宣言前最後の作品がこれ。27歳無職の主人公が、冴えない青春を取り戻すためにタイプスリップする話。やりなおしたって、変えられないこともある。


早雲の軍配者/富樫倫太郎

 ・・・北条早雲の軍師となるべく、難関で知られる足利学校へ送られることになった主人公の、刺激的な出会いと成長の話。軍師の話なのに、やっと卒業して軍師デビュー!ってとこで終わっちゃうんだよなあ、と思ってたら、やっぱり続編が出るみたい。富樫倫太郎も今後注目したい作家です。


最後のプルチネッラ/小島てるみ

 ・・・最高の喜劇役者の称号「プルチネッラ」を得るべく競う、名門出の御曹司と貧困層出身の少年。そこに大いなる輪廻転生のストーリーが溶け合う。(途中まで結構分かりにくいんだけど)クライマックスで訪れるカタルシスはちょっと他の作品では味わえないものです。


俺俺/星野智幸

 ・・・この世がみんな自分と似た考えの持ち主だったら、生きやすいのか、生きにくいのか!?まず、手始めに自分以外の「俺」があとふたりこの世に現れる。3人の俺は見事に意気投合するのだが・・・。アイデアが新鮮で面白かった。錆びた頭が刺激を受けました。


オリガ・モリソヴナの反語法/米原万里

 ・・・ロシア語同時通訳の第一人者であった米原万里さんの実体験をベースにしたと思われる話。プラハのソビエト学校で、ものすごくキャラの立っているダンスの教師だったオリガ・モリソヴナ。教え子だった志摩は、成人後に彼女の半生を調べる旅に出るのですが・・・。こんな話は、共産主義社会を身をもって体験した米原さんじゃないとちょっと書けないでしょうね。ソ連の歴史を知るという意味でもかなり充実した本です。


[番外]

猫を抱いて象と泳ぐ/小川洋子
 ・・・完全に小川洋子ワールド。本当の姿を見せない伝説のチェス・プレイヤーのお話。「先生の愛した数式」が好きな人はきっと好きだろうな。基本的に淡々としているのですが、たまにはこんな深い味わいを残す本もいいものです。


DINER/平山夢明

 ・・・私、基本的に残酷な殺しの描写とか、スプラッタとかダメなのです。この本は殺し屋だけが利用できる絶品ダイナー(食堂)の話で、あらゆる変人殺人者がやってきて、食事しながら人を殺しちゃったりするので、読んでて相当気分が悪くなります。それなのに、そんな私でも最後まで一気に読んでしまった、この面白さは一体何なのだろう?すごく不思議な作品。