KAGEROU | ほんのにちようび

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心に残った本のあらすじと感想をつづります。

(時に映画、マンガ、音楽などについても)

KAGEROU/齋藤 智裕
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★☆


珍しく流行りに乗って読んでみました。

水島ヒロについてはあんまり興味がなかったんだけど、私の大好きな版元のひとつであるポプラ社が「八百長で受賞」などというセコイことを本当にしたのかどうか、自分の目で確かめてみたくて。


世間で酷評されているほど、ストーリーはひどくなかったです。

起承転結もちゃんとあるし(←何様?笑)。


たぶん、自殺についてつらつら考えているときに思いついちゃったんだろうな。自殺する人を止められないのなら、せめて死後の体を病気の人のために提供してもらえたらいいのに、って。そして、その勢いに乗って、「自殺しようとしている中年男性の前に、全国ドナー・レシピエント協会の職員が現れて、“死ぬ前に臓器を提供してください”ともちかける話」を書こう!って決意しちゃったんだろうな。


というわけで、ストーリーは思いのほかちゃんとあるのですが、いかんせん感情移入が全く出来ません。

登場人物がなぜその行動・感情の動きに至ったかという経緯がまるで分からない上に、40歳の主人公も、協会職員の青年であるキョウヤも、20歳のヒロインもすべて話し方が同じ。人物の書き分けが出来ていないのを補うため(キャラづけ?)なのか、自殺願望を持つ主人公がなぜか意味不明なオヤジギャグをたびたび言うのですが、これがまたまったく効果をなしていない。全体的にリアリティが極めて希薄なのです。


いっそ、主人公はスイスのインターナショナルスクールで死ぬほどいじめられたトラウマを持つ元俳優、などとしたほうがよっぽどリアリティが出てよかったんじゃないかしら。


気になるポプラ社の八百長疑惑については、はっきりしたことは分かりませんが、この本を心の底から「大賞に値する」と評価したのであれば、ポプラ社小説大賞にはもはや存在意義がないと思います(実際今回をもって終了とし、「ポプラ社小説新人賞」にリニューアルするらしいですが)。今回のことが八百長であったとしても、なかったとしても、いずれにせよポプラ社の凋落を示す出来事のようで、ファンとしてはとても残念です。


BGM: Goodbye Happiness / 宇多田ヒカル