編集者という病い | ほんのにちようび

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心に残った本のあらすじと感想をつづります。

(時に映画、マンガ、音楽などについても)

見城 徹
編集者という病い
大田出版 ★★★

「編集」という仕事にとりつかれたものにとって、それは確かにある種の病のようなものかもしれない。


この本は、その内容の多くが雑誌の掲載原稿の寄せ集めであり、内容も時系列でないうえに重複も多く、じっくり練って作られたとは思えない出来だ。しかし、それでも見城さんの生き様は読んだ者の胸をつかんで強く揺り動かす。彼と作家との間には、仕事相手という枠を超えた魂と魂のぶつかり合いと融合がある。血の出るような付き合いを経て、常人同士では行くことのできない深みまで降りていっている。編集という病にとりつかれたものにとって、彼のように生涯編集者であることを全うし、かつあれだけの実績を残すことはひとつの理想形だろう。


この国で「編集」関連の職業に着いているものは何千人、あるいはひょっとすると何万人といるだろう。そして、そのなかで、「編集」という病にとりつかれながらも、見城さんのような深いところで本作りができずに中途半端なところでもがいているのは、きっと私だけではないだろう。いや、それは別に編集者に限ったことではなく、どの業界においても言えることだ。


仕事していても圧倒的にうまく行かないことの方が多かったし、何度も編集から足を洗おうとしたし、また戻ってきてしまった今でも自分がこの先どこへ辿り着くのか見えないままだけれど、それでもこの職業は素晴らしいと思う気持ちだけは変わらない。自分の能力に限界を感じ、もはや仕事に全精力をつぎ込めなくなった自分が若さを失ったことに愕然とするけれど、それでももはやこの病に引きずられるがまま、行き着くところまで行くしかないような気がしている。


そんな思いで本書を読み終えると、奇しくも前の会社の同僚から一冊の本が送られてきていた。その本はその同僚が編集した本だったのだが、私は彼がその本を編集する過程でずいぶん苦労して病んでしまったことを隣りで見ていたし、また私自身がその後彼と同様の泥沼に陥って会社を辞めてしまっていた。なのでそれはとても思い出深い本であり、その本がついに日の目をみたことに感慨深い気持ちでいっぱいになった。私も、ひょっとしたら彼も、見城さんのような深みまではいけない編集者なのだろうが、仕事を通して遥か遠くに目指していたものはきっと一緒だったのではないかと思う。


Miradouro De Santa Catarina/Madredeus


追伸:長きおやすみからそろそろ復活します。身辺にも色々変化があったことだし、心機一転。