- アーシュラ・K. ル・グウィン, 清水 真砂子, Ursula K. Le Guin
- 影との戦い―ゲド戦記 1
- 岩波書店 ★★★
[あらすじ]
アースシーの大賢人ハイタカことゲドの少年時代を描いた話。少年の頃から魔法をあやつり、一度はその力で村を助けたこともあるハイタカは、偉大なる魔法使いオジオンに見出されて魔法使いを養成するローク島へと送られる(この辺、ハリー・ポッターに似てる)。ローク島での修行中、級友に腕比べを挑まれたゲドは、禁じられた魔法を使ってしまい影を呼び出してしまう・・・。
ジブリが映画化するということで、その前に再読してみた。前に読んだのは5年ほど前。その頃少し親しくしていた人に薦められたのだけど、そのときの私の感想は「ドラゴンクエストっぽい話だね」で、薦めてくれた人が苦笑していた記憶が・・・。
映画化に際してのインタビューを読んで、宮崎駿がいかにこの本の映画化を熱望していたか、彼の作品がどれほどゲド戦記に影響を受けたか、というのがすごく伝わってきたのが再読のきっかけ。インタビューによると、この作品の(発表当時の)一番の衝撃は、主人公が戦う相手が「自分の影」であることだったという。なるほどなあと思った。
ここでちょっとゲドとハリー・ポッターの違いを考えてみると、まずゲドの方がはるかに精神的に大人だ。彼の行動は常に自発的で、目的は常に外に向けられている。一方のハリー・ポッターの精神性はのび太とあんまり変わらない。基本的に嫌なことから逃げるために行動がはじまり、自分を追ってくる敵を倒すことに終始している(って、3巻までしか読んでないから、それ以降で急激に成長してるのかもしれないけど)。
また、ハリー・ポッターの世界が、おもちゃ箱をひっくり返したように不思議なもの、面白いものであふれているのに対して、ゲドのすむ世界は基本的には中世(もっと古いかも?)ヨーロッパがベースになっているふつうの世の中である。竜が住み、魔法が使えるものが存在するという以外になんら不思議はない。
今の時代に受け入れられるのは、たぶんハリー・ポッターなんだろうなあ。ハリー・ポッターって、面白いけどあんまり教訓がないから、単純に楽しめる。でも、そんなハリー・ポッターが良き入り口になって、「指輪物語」「ナルニア国物語」「ゲド戦記」なんかの3大ファンタジーをはじめとする各種ファンタジーの読者が増えるといいなあ。
などと、「指輪」も「ナルニア」も読んだことのない私が言ってみたりして。
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