- 町田 康
- 告白
- 中央公論新社 ★★☆
ジェンキンスさんの本ではありません。念のため。
[あらすじ]
河内音頭のスタンダードナンバーである「河内十人斬り」を小説化、だそうだ。どこかまわりと「ずれ」を感じながら成長した城戸熊太郎が、やがて十人もの人々を惨殺し自害するまでの過程を描いた話。
私は基本的に陰惨な話は読まないのだけれど、この本は傑作だ、という評価をいやというほど見聞きしたので、つい誘惑に抗えずに読んでしまいました。時代小説にカタカナ語がばんばん出てきたり、3人称の文章にいきなり「あかんではないか。」と作者のせりふが乱入したり。完全にフリースタイルな町田康。
とはいえ、筋自体はオーソドックス。世間とずれたまま周囲の理解を得られない熊太郎に、次から次へと襲い掛かる災難。そんな中に突如訪れたつかの間の幸せ。そして・・・転落。
自分の思いが、100%すべて相手に伝わることは、たぶんない。相手の考えていることも、決して100%はわからない。でも、自意識が肥大してくると、「気持ちとことばの差異」とか「自分と相手との差異」とかに苛まれはじめる。そういうサンプルは現代の小説を読むとどこにでも転がっているけれど、熊太郎の時代にそういう自分に踊らされてしまったら、さぞきついんだろうなあ。
人生の大半を農家(つまり田舎)で過ごしたうちのおばあちゃんなんかの話を聞いていると、農村などの閉鎖的なコミュニティがいかに規格外の考え方を排除してきたかというのが伝わってくるので、余計にそう思う。
ちなみに、町田マジックにより読後に「くほほ」ということばを使いたくなる確率が高い模様。くほほ。
BGM:Num-Heavymetallic/NUMBER GIRL