永遠の出口 | ほんのにちようび

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心に残った本のあらすじと感想をつづります。

(時に映画、マンガ、音楽などについても)

森 絵都
永遠の出口
集英社 ★★★

[あらすじ]

一般的な家庭で、ごく普通の友達に囲まれて育った紀子。しかし、そんな紀子の周りにも、少しずつ変化が起きていって・・・。10歳から18歳までの成長をゆるやかに追った作品。


少年少女が主人公の話(ヤングアダルトとか、ビルドゥングスロマンとか呼ばれるあたり)が大好きな私にとって、そのジャンルで高い評価を得ているのになぜか良さがわからない2大巨頭が“森絵都”と、“恩田陸”だった。しかし、この作品を読んで、森絵都のすごさを実感。


私は、〈永遠〉という響きにめっぽう弱い子供だった。


もう、このつかみからやられた。主人公の紀子の姉は、ことあるごとに「紀ちゃんがいない間に私たち○○を見たんだよ。でも紀ちゃんはあれを永遠に見ることができないんだね、あんなに素敵だったのに」などといって、優越感を募らせるタイプ。そして、紀子はそれに見事なまでにひっかかって悔しがる。


思い返すと、確かに小学生の私たちにとって、世界はあらゆる可能性に満ちていたのではなかったか。ゲームに負けて半泣きになって怒ったり(私だけ?)、分もわきまえずコンクールに出場してみたり、親友を独占しようとしてみたり、充満したエネルギーをいたるところにぶつけて、「不可能」というものの存在を意識することはあまりなかった。森絵都も書いている通り、今は「この世が取り返しのつかないものやこぼれ落ちたものばかりで溢れている」ことを知っているし、あきらめることに対してずいぶん素直になった。


この話には、特別な出来事は出てこないけれど、かつて誰も(特に女子)が経験したような感情や、日常の小さな経験を見事なまでにすくいとっていて、ノスタルジックな気分になる。


仲のいい友達を呼んで自宅で開くお誕生日会、担任教師のひいき、片思い、いつまでも帰りたくなかった夕方、切り過ぎた前髪、友達のおせっかい、不良へのあこがれ、家族内の不協和音、初めてのアルバイト、マンガみたいにならないぶかっこうな恋愛、卒業、再会、エトセトラ、エトセトラ・・・。



BGM:Happyend/Ryuichi Sakamoto