- 村上 春樹
- 東京奇譚集
- 新潮社 ★★☆
日常のなかで起こる、ありそうでなさそうな「不思議」がもたらす話を集めた短編集。
読んでいて心地のよい文章はさすが。「不思議」系短編集と言えば、思い浮かぶのは川上弘美や小川洋子などだけれど、この春樹本には川上弘美よりもやや理性が勝っていて、小川洋子よりもやや背筋の薄ら寒い感じが和らいだ雰囲気がある。不思議度の度合いでいくと、この本は上の2つよりやや入門寄り(?)。
この短編集に入っている5編のうち、1,2,4番目はわりと良かった。
ちなみに1番目の「偶然の恋人」という短編のあらすじを紹介。ピアノの調律師をしているゲイの青年が、カフェで本を読んでいると、偶然にもまったく同じ本を読んでいた女性から声をかけられた。それがきっかけで、その女性と翌週も会うことになったのだが、話しているうちに彼は、彼女と、長い間疎遠になっている自分の姉との小さな共通点を発見する。彼女は自分の身に降りかかったひとつの深刻な出来事について語り始め、その話を聞き終えた後、彼は10年ぶりに姉に連絡を取ることを決めて・・・、という話。
BGM:Set Me/Spangle Call Lilli Line ←最近のイチオシ。