- H・F・セイント, 高見 浩
- 透明人間の告白
- 新潮社 ★★★
[あらすじ]
ウォール街の証券アナリストであるニックは、ある研究施設へ取材に訪れた際に事故に巻き込まれ、その影響で透明人間になってしまう。そこへ事故の調査に来た政府情報機関によって、ニックはその存在を知られることになり、彼らに追われる身となった・・・。
「本の雑誌」が選ぶ、この30年のベスト1作品がこの本。訳が読みやすいのか、構成が見事なのか、つっかえることなくすいすいと読んでいける。
この本が出版された1980年代後半においては、透明人間という存在はさぞかしセンセーショナルだっただろう。現代の私たちにとってはもはや目新しい存在ではないけれど、そのかわり、突然透明人間になってしまった主人公の行動と心理描写が驚くほどリアル。
私にとっての透明人間鑑賞経験は、ケビン・ベーコン主演の“Hollow man”という映画を(なぜかうっかり)観たことぐらいなので、あれに比べると格段に面白かった。透明人間なのに、少しずつ政府情報機関に追い詰められていくところなんか、ハラハラしながら読み進んだ。そして、なによりこの主人公のニック、透明人間なのに(と言ったら透明人間に失礼?)普通の人間と恋に落ちるのである!
その顛末は読んでのお楽しみ。
BGM:Invisible man/Mondo Grosso