ヒトラー~最後の12日間~ | ほんのにちようび

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心に残った本のあらすじと感想をつづります。

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ヒトラー


これまでずっとタブーとされてきた「ヒトラーの人間性」に挑んだ、というふれこみのこの映画。当時の秘書が死の直前に語った証言を元に、ヒトラーが死ぬ直前の12日間に焦点を当てて描いている。


なにしろ、あの「es」の監督が撮った映画なので、血なまぐさい描写がおびただしいことこの上ない。もちろん戦争映画なのである程度は不可欠なのだけど、それにしたってすごい。血に飢えている人は即刻見に行かれたし。私は先日も(血が嫌いだというのにうっかり)戦国自衛隊を見たばかりなので、本当におなかがいっぱい。


それはさておき、内容はなかなか見ごたえのあるものだった。私にとってヒトラー=「アドルフに告ぐ」(手塚治虫の漫画)なので、ヒトラーの人間臭さはなんとなくイメージできていたが、ブルーノ・ガンツ演じるヒトラーは想像を超えて驚くほどリアルだった。ベルリン市民を案じる部下に対して、


「戦時下において、市民など存在せぬ」


と言い放つシーンも、冷酷というよりは、目標実現への悲痛なまでの叫びに感じられて痛々しい。

 

印象的なシーンが2つある。

1つは、ゲッベルスの奥さんが6人の子どもを冷酷な顔つきで殺していくシーン。その少し前には、死を前にしたヒトラーのひざにすがりつき、取り乱して「生きてください」と泣き叫んでいたのに、同じ人物か?と思えるぐらい冷静に毒薬を飲ませていく。数多の軍人たちがヒトラーを信奉していたけれど、実はヒトラーに対して一番強い狂信の念を(少なくとも劇中で)持っていたのは彼女ではなかっただろうか。


もう1つはかろうじて逃げだした秘書が、「女には手出しをしないだろうから、ソ連軍に助けを求めろ」と言われてたった一人でソ連の大群の中へ歩いていくシーン。ものすごい緊張感のなか、ひとりの少年が彼女に走りよって味方をするように手をとるシーンでは、この世ではじめてあたたかいものに触れたような安心感を感じた。



BGM:Little Fugue in G-/Bach