- 著者: 三浦 しをん
- タイトル: 私が語りはじめた彼は
三浦しをんさんの本の感想はずいぶん前に書いたつもりだったのだけれど、実は書いていなかったことにこの間(「本屋大賞」メッタ斬りを書いていたときに)気づいたので、改めて。
「人生劇場」というエッセイがすごく面白くて、それ以来気になっていた三浦しをん。彼女のエッセイを読むと、面白いだけでなく、豊富な知識がさりげなくちりばめられているのがわかる。彼女にはエッセイストがむいていると思うのだが、(小説はイマイチ?)エッセイ以外の作品もいくつか読んでみた。
私が語りはじめた彼は 三浦しをん 新潮社★☆
内容は、とある大学教授の不倫による家庭崩壊を軸に、それに関わる人々を描いたもの。良いタイトルだなあ、と思った。書評などの評価も高かったので、これは!と思ったけれど、やっぱりダメだった。うーん、残念。力の入りすぎなのか、前半の表現がやたらと仰々しくてウケ狙い?とすら疑ってしまうほど。そのうえ、いつもながら今回も登場人物の描写がいまいち(特に若い男の子の描写がリアルじゃない)ので、気持ちがのっていけなかった。設定は面白い部分もあったのだけど。
---------------------- 既 読 本 -----------------------
人生劇場 新潮社 ★★★★
電車の中で読むのは要注意のエッセイ。とっても痛快。日常の何気ない話題に対する彼女の考察が非常に鋭く、妄想のつっぱしり方も突き抜けていて気持ちよい。 それにしてもワールドカップでのコッリーナ&カーンのくだりは面白かった。
ロマンス小説の7日間 角川書店 ★★
「あらすじ」
海外ロマンス小説の翻訳を手がけるあかりは、ロマンス小説のお決まりな展開に少し食傷気味。そんな中、恋人は自分に相談もなく突然会社を辞め、知らぬ間に飲み屋の女の子とも親しくしているようだ。あかりはその苛立ちを小説にぶつけ、あろうことか勝手に話を書き換えはじめてしまう・・・。
あらすじに惹かれて読んでみた。が、残念ながらややアイデア倒れになってしまっている感じがした。作中作は軽くて楽しめるのに、肝心の主人公の実生活はリアリティが希薄。思わず作品を書き換えてしまうほど激しい感情を持った主人公なのに、その心境や気持ちがぼやけて伝わってこない。軽く読むには悪くないけれど、期待して読むと肩透かしをくらうかも。
格闘するものに○ 草思社 ★★
「あらすじ」
書家の老人を恋人に持ち、友人ものんびりや揃いの可南子。そんな中、ゆっくり就職活動をはじめた可南子は、思いも寄らない世間の「常識」に遭遇する。時を同じくして、政治家を父に持つ彼女の家庭では跡継ぎ 問題が勃発し・・・。
就職活動は結構ドラマだ。主人公、可南子にも就職活動だけでなく、 家族・恋愛などで小さなドラマがいろいろ起こるのだけれど、話が中途半端に青春小説でぬるい。作者の資質を考えても、いっそどたばたコメディにした方が面白くなりそうなのに。それにしても、この話にこの装丁はアリなのだろうか・・・? 全然あってない気がするのだが(草思社版)。
BGM:猫になりたい/スピッツ