- 著者: 吉田 修一
- タイトル: 日曜日たち
- 講談社 ★★☆
子どものころ、一週間で一番幸せな日は日曜日だと思っていた。社会人になったら、一番幸せなのは土曜日、さらには金曜日の夜へと変わってしまった。それでもいまだに、「日曜日」という言葉は、あたたかい日ざしと、毛足のながいじゅうたんの上で満足そうに目をつぶる猫を私に連想させる。このブログタイトルも、そんな言葉のイメージからつけたものだ。
これは、さまざまな人たちの日曜日にまつわる出来事を描いた短編集。大人の日曜日って、幸せなことばかりにはいかないらしい。
猫:私の日曜日はとっても幸せですけれどね。
それぞれが独立した作品かと思いきや、ところどころに登場する「風景」としての少年たちの正体が、最後の作品で明らかになる、という心にくい形式になっている。
吉田修一は、最初に「パークライフ」を読んで、「ふーん」と思ったまましばらく他の作品には手をつけていなかったのだが、「パレード」でラストの展開に驚き、「春、バーニーズで」でそのセンスに驚き、最近すごく見直している作家(最初に見抜けなかっただけ?)。
この本の前に読んだのは、「最後の息子」という作品で、これは「春、バーニーズで」の冒頭の短編で再会するオカマとその若き愛人(ヒモ)だった主人公の恋愛時代の話が収録されていると聞いたので、手に取ったもの。オカマの話も面白かったけれど、最後の高校生活を描いた青春群像ものもうまくて驚いた。
何がうまいんだろう、と考えてみると、きっと「雰囲気づくり」なんだろうと思いあたった。自分の言葉によって相手が傷ついたり、怒ったそぶりを見せたときの、その後の気詰まりな空気。予定調和的な人生を歩む人への、嫌悪感と少しの羨望が混じった口ぶり。そういう心の揺れが良く伝わってきた。
BGM:Sunday Morning/Maroon5