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鱒沢館は遠野盆地の西側の入口にあたる宮守地区、JRの駅で言えば釜石線の荒谷前駅の北東側の山中にある。麓には長泉寺があり、大きな榧ノ木が市の天然記念物になっている。館跡じたいは史跡などには指定されていない。周知の埋蔵文化財包蔵地にはなっているはず。

中世を通じて阿曽沼氏の一族鱒沢氏が持っていたが豊臣秀吉が小田原城を囲んだ際の不参を責められて領主権を没収され南部氏の臣下に配されたが、このときは廃城は免れた。鱒沢氏は江戸時代に入って謀反の疑いで誅殺され滅んだが、館がどうなったかは定かでないようす。

現状、長泉寺の入口に説明板は立っているが館跡は完全なヤブ山、入口が本堂の裏側だし道も無いので、入って良いか躊躇もするところ。

南〜西側の周縁部ぐらいしか見て回れていないが、その様子から土塁と曲輪の配置を描くと、こんな感じか。

 (電子国土Webの図に筆者追記。

 片側からだけの見た目なので正確でない


普通の週末だったが高速バスで盛岡に乗り込み、盛岡城をぶらぶらしてからレンタカーで遠野に乗り込み、最初のターゲットにした。

 

館への入口になる長泉寺。

この寺は1574年に館主の鱒沢氏が建てたという。

 

館跡の説明板も立っている。

ちょっとくたびれてるな…

 

すぐ隣には、市指定天然記念物という榧の木。

 

寺の本堂の裏側へ入ると、背後の山に向かって登る道がある。

しかし、すぐ先の墓地の上で終わっているようだ…

 

で、やっぱりコレか…😂

地面は見えるが、トレイルがどこにあるか、ぜんぜん見えない…

ここのヤブはトゲのある木が多いので注意⚠️

 

館がどこにあるかもよく分からないが、地形図で寺の北側に330メートルの等高線がボコっと南に飛び出したところが館の頂点と考えて、北の方やや東寄りを狙って登ってゆく。

すると、300メートルの等高線あたりで、上手いこと館の西側を守る竪堀に出ることが出来た。

外側の土塁上。そうとうな濃さのヤブ…

 

堀の中も灌木だらけだが、断面は見通せた。

 

竪堀は尾根線を左から回り込むように登っていて、少し進むと右側が植林地になった。

ヤブもなくなり、見違えるばかりのキレイな薬研の断面が現れた😮

 

館内の方は高くなっていて、少し登ったところにも空堀か段かが走っているようす。

 

上の方を見に行くために少し登ったところから、竪堀を俯瞰。

この角度もイイ✨

 

段まで登ってみると、その少し下から新たな竪堀状が始まっていた😮

 

これも等高線と平行か少し登りつつ続いている。

 

下の竪堀と平行に進んでいて、落差のある二重空堀のようになっている😮

 

この竪堀状の下端は曲輪のような平場。

 

その左奥のほうを斜めに登って向こう側に出られそうな踏跡があったので、そちらを登ってみた。

すると、削平されていない自然地形のままのような緩斜面に出た。

ここに建物とかは建たんな…🤔

 

しかし、末端はしっかりと切岸加工されたらしい急斜面になっていた。

明らかに人工的に造成された空間だな🤔

 

そして、東側は土塁でしっかり縁取られていた。

その向こう側に東側を守る竪堀状が走っているはずだが、ヤブでまったく見通せなかった😂

 

では、この緩斜面を登って館の上の方に行ってみるか…

何もなくダラダラと登る斜面を進むと、320メートルの等高線に沿うようにハッキリとした段が走る。

 

その上は平坦地に見えるが、まだ外傾…

 

10mぐらいで、もう一段。

植林地から出るあたりで、またまたヤブが濃いぃ…

 

そして、この段の上が平坦になっている。

恐らくここが館内でいちばん大きな曲輪。

 

カラマツらしい黄葉した針葉樹の下が猛烈に濃いぃヤブで、形や広さなどは全く見通せないが…😂

標高は520メートルちょいぐらいか。

 

この先へ突っ込む気にはなれないし、下の堀沿いに登っていったほうが面白そうなので、再び西へ。

このあたりから西の方は落差10メートルぐらいの急斜面になっていて、下にさきほど辿ってきた平行する竪堀状が走っている。

 

ここから下に降りて内側の竪堀を登ってゆくと、最後は主郭らしい西側、切岸の下に広がるバドミントンコートより狭いぐらいの曲輪で終わっていた。

 

主郭らしい側から落ちてくる斜面も、登るのムリとは言わないまでも相当な急傾斜になっている。

ちゃんと切岸加工入れたようだな🧐

 

ここも先はどこへ進んでも猛烈なヤブなので、下の条に逃げる💨

こっちも灌木がパラパラ生えているが、見事な土木の美を見せている✨

 

しかし、ここも上の方が急に怪しくなる…😨

断面が小さくなり、ササが濃くなってくる…

 

西から道が入ってきているか?

 

ただ、ここを降りられても民家の庭とかに出てしまいそうだし、そうでなくても道に出るところで沢を渡らなければならないと思われる。

ここには入らない方が良いだろう。

 

上の方は、ササで見通せなくなる😂

外側の土塁が辛うじて見えている。

 

なおもめげずに突入すると、この竪堀は意外としつこく続いていて、主郭らしいところを横目に見ながらずっと上の方まで登ってしまいそうな雰囲気😮

土塁上から堀の中を俯瞰したようす。

空堀って、外側の土塁や切岸よりも中のほうがヤブになるのね😨

 

少し上には、また外から入り込んでくるような虎口みたいのが…

 

なおも頑張って登ってゆくと、標高330メートルちょい、地形図でいうと尾根が張り出している根元のあたりで終わっていた。

ちょっとだけ急斜面を登ると、土橋のような尾根の上に出た。

 

そして…

 

向こう側の竪堀みっけ〜🙌

 

反対側に降りて館の東側を守っていると思われる空堀が、かなり急角度で降りているのが見えた。

もともと谷だったところの真ん中に土塁を盛って空堀にしたようで、一見二重竪堀のように見える。

この真ん中の土塁もとても重厚なのだが、ヤブだらけで何が何だか分かりゃしない😂

 

それにしても、竪堀の内側は館内最上部になるが、全く土木工事されたように見えない😂

 

外との間を繋ぐ尾根も、然り…

この左右両側が西、東の竪堀に向かって落ち込んでいるが、天端の周りは自然のままに見える。

ここから向こう側は館外になる。

 

ヤブだらけらしい郭内の上の方以外は、これで全域回れたぜぃ🙌

満足感に浸りながら退散💨

 

扇の頂点から両側に落ちる竪堀に守られ、中に段郭を配しているという特異な縄張りの、片側からのつまみ食いながら全体を妄想できる程度には見て回ることが出来た。

なんとか日の目を見てほしいと思う反面、長閑な山里の雰囲気が素敵な場所でもあり、あまり荒れないようソッとしたくもあり、なんか複雑な気分になった…

 

★鱒沢館

岩手県遠野市宮守町上鱒沢

麓の長泉寺の駐車場を利用させてもらえるのか、寺の境内を突っ切って良いのか、全て未確認。

山城

 

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(2024年11月26日 記)