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五箇篠山城は伊勢自動車道・紀勢自動車道の勢和多気JCTから国道368号を西に5kmほど入ったところにある「ゆとりの丘」北側の尾根を占めている。

天正十年(1582年)の本能寺の変のときに伊勢国司を名乗る北畠具親が籠もって蜂起したことで知られる。それ以前の歴史は分からないとのこと。

三重県ホームページ内の県史の中にかなり詳しい説明がある。

 

冬休み遠征で赤木城の星空を堪能した翌日の登城。この日も好天に恵まれた。

 

現在位置(Googleマップで) 

 

城のある尾根の南西側の麓が広い公園になっていて、数十台分の駐車場も完備されている。

大人数でも安心して登城できるだろう。

 

駐車場のすぐ北側が、もう城のある山。

 

登り口には立派な説明板。

 

背後の斜面が大きくえぐれているが、遺構ではないらしい。

説明板の前から、これまた整備された園路を登ってゆく。頂上まで250mだそうだ。

まずは尾根まで一気の登りっ💦

 

途中にはマムシ注意の看板が2ヶ所に立っていた。

公園に整備されているとはいえ、自然の中には危険な生き物も住んでいる⚠

 

尾根に出ると右に折れ、なおも登りが続く。

 

道は尾根の北側をトラバースしつつ登ってゆく。

ひとしきり登り、ヘアピンカーブで折り返すと、右側に見える高い曲輪の下の段郭らしいところに出る。

 

中央が溝のようになっているのが不思議。

溝は虎口のようになっていて、奥では曲輪の縁に通される。

旧勢和村の中心地がよく見渡せる。

 

下には、もう一段曲輪が見えた。

ここから見上げる主郭の切岸も、なかなかに印象的な風貌…

 

ここからはどこへも行けないので、園路へ戻る。

この先は城の南側を東西に渡す回廊のような帯曲輪になっている。

 

主郭への登り口は、すぐ先の看板のようなものが見えるところ。

 

主郭まわりは、なかなか凝った造形美の見えるところ。

まずは、園路から階段を登ると、一段低い曲輪に通される。

尾根に抱かれたような、侵入すれば包囲されるように上から矢弾が降ってきそうな場所だ😱

 

ここから、主郭へは直角に左に折れて、急傾斜の階段を登る。

往時からこの動線だったとすれば、寄せ手に方向転換を強いて、少しでも突破に時間を費やすような工夫をしていたのだろう。

守る側にすれば、ここまで攻め込まれたら時間稼ぎをしつつ脱出することを考えなければならないような最後の防衛線だろうから、必死だろう。

 

そして、主郭。

バドミントンコートぐらいの広さしかない。

実際には建物が立っていたとしても司令所と物見櫓ぐらいの、ささやかなものだったろう。

 

周囲は低いながらも土塁で固められている。

土塁の向こう、梢を通して麓が見えているのが、城の立地を物語っているだろう。

 

そして、東の堀切に向かって動線が伸びている。

北側の帯曲輪が寄せ手に占拠されていなければ、脱出路にもなりそう…

 

主郭はこんなものなので、園路に戻ってさらに西へ進む。

なお、ここまでは公園の一部になっていて、訪れる人も多い。

 

主郭の前を通過してすぐ、左手一段高いところに、二重の堀切らしいものが見えてくる。

堀切底へ登る階段も設えられている。

 

この二重堀切、なかなかに面白い造りになっている。

主郭側の条。

 

反対側の条。

 

そして、真ん中の盛り上がり、普通なら土塁のように南北に伸びるところが、まん丸な形をしている。

広い箱堀状の真ん中に丸く土盛りされたような感じ。

他では見ないな…

 

向こう側へも抜けられるようだが道はなさそうなので、園路に戻る。

少し下ったあとは、ホント巾3メートルぐらいの帯曲輪になっている。

 

そして、すぐ先にこれまた立派な堀切が横たわっている😮

ここの底も園路より一段高くて、やはり登る階段がある。

園路側からはパンダになってしまうので反対側から…💦

 

北側に出たところから眺める、主郭の方へ続く切岸も見事✨

間の曲輪に登る道は無いらしい…

 

ここから城外側には、北側にもしっかりと帯曲輪が見えている。

もともとは主郭の手前まで、南と北を帯曲輪で連絡していたかな?

 

北側はやはり荒れていたので、ふたたび園路に戻ってさらに東へ。

このあたりから振り返る主郭方向。

曲輪の切岸で折れが入れられて、主郭の方を見通せないようになっているのだな😮

 

少し行ったところに、ふたたび大きな堀切😮

 

この堀切は変わった形をしていて、城内側に深い堀を抉って、外側には隣の曲輪より一段低い曲輪状を設えている。

城内側の抉ったところ。

 

外側の段。

バドミントンコートより狭いぐらい。

 

ここから見上げる、城内側の曲輪の切岸も相当なもんだ😮

この曲輪へも登れないようす…

 

園路はここでひっそりと消えていたが、南側の帯曲輪は細くなりつつも続いているらしかった。

 

堀切外側の段から落ちているようなコレ、竪堀か?

ふつうなら薬研状に抉ったところから落とすんだろうが…🤔

 

ここから細くなった帯曲輪をさらに奥まで行くと、そのまま最西端の曲輪に登る。

ここはちっこい舌状台地のような感じ。

 

そして、その奥…

 

これは、堀切でしょ…😮

 

ガケとは言わないまでも直降り不可能そうな土の急斜面だが、降りてみるか…

こういう大きな堀切へのアプローチに正面突破は危険で、よく探すと曲輪の側面などからアプローチ出来る事が多い。

ここは簡単とはいかなかったが、南側の斜面にわりと樹木が多いところがあり、そこから木に摑まりながら降りていった。

傾斜だけでなく、手がかり足がかりがあるかどうかも大切ね…

 

降りてみると、そこまで巨大!というほどではなかったが、美しい曲線を見せる堀切が横たわっていた。

左の城内側が非常に高い。

 

北の方から見てみる。

ジャマな枯れ竹などがなく、よりすっきりした姿✨

 

南北両方の斜面にしっかり竪堀も落としている。

 

そして、その西側の側面、岩盤が顔を出している😮

地山の岩盤まで、わりと浅いのかな…

 

堀切の向こう側にも外郭のようなものがあるらしく、それらしい土木の跡のようなものも見えたが、時間も押していたのでここまで🛑

 

基本的には東西に伸びる尾根を利用して、堀切で区画し間に削平した曲輪を置いた、典型的な連郭式の山城だろう。

公園城と思ってナメてかかってたら奥の方の遺構に腰を抜かした😅見事✨

 

★五箇篠山城

三重県多気郡多気町朝柄

麓の「ゆとりの丘」の駐車場が利用できる。トイレ完備。

山城

 

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(2024年3月12日 記)