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 先達城はJR中央本線の小淵沢〜信濃境の中間やや西より、鹿ノ沢川左岸の段丘西端に構えていた城だった。

武田信虎が享禄元年(1528年)に信州に進出した際、小東ノ新五郎の屋敷を接収したのがその始まりらしい。

その後は多田淡路守常昌が居館としてたという。

 

国道20号からはだいぶ登ったところだが県道17号「七里岩街道」のすぐそばであり、近くにはこれまた地味な丸山狼煙台や蔦木城などがある。

今は常昌寺の境内になっていて気軽に訪問でき、山城ではないのでキツイ登降もなさそう、何しろ暑い日なのでお気楽登城にちょうど良い、と思って行ってみた。

 

常昌寺には駐車場がある。

この日は誰もいなかった…


赤い屋根の本堂が立っている位置が、城の主郭。
一段高くはなっているが、それ以外に外敵から防御するようなものが見えないな…
大手道や門などは、右側を登ってゆく道に潰されたのかな…?

駐車場の入口に、城の説明板が立っている。

遺構は特に見られないとある。
それでも富士見町指定史跡。

入口手前にはフタをされた水路が走り、段には石垣。

後補だろうけど…


立派な本堂✨

城の在りし頃も、ココが主郭だったらしい。


右手の奥に入り込んでみると…
ただのヤブに見えるけど、これが1メートルは盛り上がった、立派な土塁😮
大きすぎて、ソレと解りにくいけど…💦

遺構が無いなんてことは、なかった😊


土塁の向こうは墓地になっていて、いきなりズカズカ踏み込むのは気が引けるので、一旦境内から出る事にする。


まずは城の北側を見てみるか。

寺の入口前から北に伸びる細い道を行くと、少し先の左手上に鳳凰山大権現のきれいな鳥居が見える。


中には、小さな祠が二つ。


ここは北側の中心的な曲輪だったらしい。

奥行きもあるが、まずは道に戻ってさらに北へ💨


道沿いのこの斜面、短く低いながらも直線状にスラリと立ち上がっていて、いかにも城郭らしい雰囲気✨

高さは3メートルばかりで、寄せ手に対する防御力は申し訳程度だったろうけど…


斜面が途切れると、その先には県道17号の跨道橋。


今は立派な掘割の2車線道路だが、地元の方から聞いたところでは、昔はもっと細い、一人がやっと通れるぐらいの切通し道だったらしい。

釜無川の甲州街道が洪水などで通れなくなったときの迂回路だった原路の切り通しかな?


城の北端に、北側の防衛のための堀切と街道を通す堀割を兼ねた切り通しが通っていたのかも知れない。

地元の方の話では、東の方をよく見通すことができて、見張り台を置くのに好都合だったのではないか、ということだった。

なんか、当時の様子が目に浮かんできそうだった😮

 

跨道橋の手前で丘は途切れていたので、その北端から入ってみるか…

北端には坂虎口のような道が曲輪の方に登っているが、先ほどの方に聞いたところでは、これは後補だろうという話だった。


ここから曲輪に登ってみると、西側が一段低い。


そして、鳳凰山大権現の祠があるあたりが一番高い平坦地になっている。

北側の曲輪の中心はココか?


鹿ノ沢川の谷に面した斜面は、それほど鋭く落ちているようではなかった。

それでも、けっこうな急斜面…


途中に何本か、こんな段郭っぽい平坦地が入っているが、これは植林の時のかな…?


いちばん南側は常昌寺の本堂の北隣、土塁のこちら側の墓地。


続いて、常昌寺の本堂の南へ💨

 

一段下も曲輪だったらしいが、今はフェンスで囲まれたゲートボール場になっている😮


それでも、東側にほんのちょっとだけ残る斜面は、切岸っぽい…


ここから南側にもう一面の曲輪があったようだが、行くにはゲートボール場のフェンス脇の狭いところを、へばりつくように進まなければならない…💦
止せばいいのに突っ込んだものの、曲輪はキクイモとススキのヤブが広がっているばかりだった😮

ヒマワリのちっこいのみたいなキクイモが…

曲輪の西側には土塁、その向こう側が鹿ノ沢川に落ちる斜面のはずだが、こんな有様じゃとても入って行く気になれんわ…

というわけで、これにて撤収ーっ😅 

 

全体に、見てわかる遺構はほとんど消滅してしまっているようだが、よ〜く目を凝らすと城郭であった頃の面影がそこかしこに残っている。

城としては丘陵の端の急斜面を利用し、北側に切通しを掘って防衛に供してはいるようだが、東側に低い切岸らしい段差は残っていても堀や土塁らしいものは見当たらず、周囲からの比高も低く軍事的な拠点にはしにくいように見える。

南の方を走る甲州街道や脇往還だった原路を押さえる拠点とか、この辺り一帯を統治する役所のような役割を担っていたか…?

 

★先達城

長野県諏訪郡富士見町境先達

常昌寺の駐車場が利用可。

丘城

 

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(2022年12月19日 記)