THROUGH MY FINDER -4ページ目

懐かしい風

親友のはじまり

今日は渋谷のクラブに来ている。普段こういう華やかな場所に私は来ないのだけど、今日は親しい友人の誕生日パーティーとするというからここに来た。サナエは社交的で誰とでもすぐに打ち解けるし、人の付き合いの幅は私なんかと比べ物にならないくらい広い。私が友人と呼べる人なんかほんとに少ないし、自分がもし結婚でもしようというのなら、呼べる人が少ないので旦那さんに申し訳ないなと危惧したりするけれど、私の現状は、その旦那さん候補になるようなひとさえいない。
このクラブは少々敷居の高いクラブであるらしくて、ドレスコードなんかがあったり、来ている大体の女性はドレスなんかを着て、大体の男性はドレスシャツの胸元をはだけて十字のネックレスなんかをしている。きっとキリスト教徒とかじゃないだろうし、なぜクロスなの?と疑問に思うし、きっと何かのまねごとなんだろうと思うけれど、私の美的センスにはそぐわない。そんなこといってたら教会で結婚式なんて開けないな、なんておもうけど、私自身教会で結婚式をしたいとは思わないから、まぁ、いいっか。

サナエは神出鬼没をしては、ありがとうとか楽しんでいってねとか私たちに言ってまたどこかに去ってゆく。そしてまた誰かに同じ様な科白を言って笑顔を振りまいている。大したものだと思う。皮肉とかではなくて。本当にそう思うのだ。

サナエと私が出会ったのは学生時代の就職セミナーで隣同士になったからだ。サナエは社交的な正確だから私に彼女から声をかけてきた。
「あの司会の男の人ちょーかっこいいよね。」と声をかけてきた。
私は「そう?自分の饒舌さに酔いしれているタイプの男性の様な気がするけど。そんなにすばらしい会社なんてそうそう無いと思うし。人をコントロールしようとしてるよね。」
「あんたかわってるね?」
「そう?そうかもしれない。」
「あんたおもしろいわ、これ終わったらさ、お茶しない?」
「うん。いいよ。」
てな風にお茶をしに行き、連絡先を交換した。彼女との付き合いはそこから始まった。

サナエ自身は、非常に社交的であったし、つまらない男ととっかえひっかえつき合ったりしている女性だった。私はそういうタイプではないし、あまりに違う系統であったがそれが油と水と犬猿の仲みたいにはならなくて、つまりお互い誰かを基準に生きる事はしないという共通点によってお互いへの興味を抱いてそれを話す事を楽しいと思えたのだった。お互いにお互いの価値観を強要はしなかったのだ。

サナエとわたしは出会ってからある約束事をした。
「他の誰かにはいいけれど、私たちの間には嘘はなしにしましょう。」
それはサナエが言い出した事だった。私はその提案を了承した。

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