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大阪大学(阪大)は、光応答原子スイッチを用いた網膜型スイッチング素子を開発したと発表した。
同成果は、同大大学院 理学研究科の田中啓文助教、小川琢治教授らによるもの。
同大 産業科学研究所の柳田剛准教授らと共同で行われた。
詳細は、ドイツの科学誌「Advanced Materials」に掲載された。
新たなインタフェース機能の1つとして、小型で低消費電力の画像認識システムの開発が進められている。
例えば、世界中のどの店からでも、入店時に自動で顔認識し、顧客情報がオンラインで自動取得できるようなシステムを現状の技術で作成するには、世界中の店舗でCCDカメラを24時間駆動させる必要があり、莫大な電力を消費する。
低電力で動作する顔認識システムを実現するには、光信号の検出、および記憶、画像認識処理といった従来はそれぞれ異なるデバイスによって行ってきた機能を単一のナノスケール素子に集約する必要がある。
このような集積化が実現すれば、上記のようなシステムだけでなく、高い画像認識機能を備えた人工眼なども作成できる。
今回の研究では、光信号から電気信号への変換と、変換した電気信号を記憶する機能を兼ねた、光応答原子スイッチによる繰り返しスイッチングを従来の問題点を改良して実現した。
原子スイッチとは、Ag2Sなどの固体イオン伝導体を利用し、その表面から還元により析出する金属原子数個の移動によるスイッチング素子で、極微サイズで動作することから将来的に電子機器のさらなるダウンサイジングに繋がると有望視されている。
これをノーマル原子スイッチと呼ぶ。ノーマル原子スイッチでは、数ナノメートル幅のギャップを有するPt-Ag2S/Ag電極において、加えるバイアス電圧の極性反転により高速のスイッチング動作が実現されている。
このノーマル原子スイッチにおいて、両電極間の電気伝導度を他の外場により制御することができれば、外場の存在時のみスイッチングが可能となるデバイスが実現できると考えられてきた。
研究グループが以前に報告した従来技術では、ノーマル原子スイッチの数ナノメートルの電極間ギャップを数十ナノメートルに広げ、そのギャップ間に光応答有機分子を設置することで、光照射時に限ってスイッチング素子をオンにさせることに成功した。
これを光応答原子スイッチと呼んでいたが、繰り返しスイッチングさせることができなかった。
原因は、光応答原子スイッチの銀ワイヤーが伸長することにより、固体の光応答分子が押しやられ、オフ時に銀ワイヤーと光応答分子との電気的接触がなくなるためで、DVD-Rのような書き込みのみのメモリが実現した。
今回、研究グループでは光応答性を有し、かつ融点が低く光照射時にのみ液状化する有機半導体分子テトラドデシルペリレン-3,4,9,10-テトラカルボキシレート(TDPC)という有機分子を合成し、光応答原子スイッチに組み込んだ。
電極には、簡便に作製できる透明なITOナノワイヤーが剣山状に並んだ基板を用いた。
さらに、Ag2S基板上にSU-8と呼ばれるフォトレジストの升型に設置し、TDPCを溶かし込み、上部からITOナノワイヤー電極をかぶせることで、デバイスを作製した。
光が照射されると分子が液状になることから、オン時にスイッチング用銀ワイヤーに分子が押しのけられても、オフ時にはギャップ間に分子が再充填される。
これにより、光応答原子スイッチの繰り返しスイッチングが可能となり、DVD-RWのような繰り返し書き換え可能メモリとなった。
銀ワイヤーの伸び縮みには数ミリボルトの電圧でも可能なことから、今回の研究で開発した光原子スイッチを集積化することで、人体の中で自然発生する電圧を利用して動作する人工網膜などを開発できる可能性がある。
さらに、異なる色で応答するように分子選択を工夫すれば色の識別も可能になるとしている。
また、ノーマル原子スイッチでは、信号の入力回数が同じでも頻度が多いほど記憶状態がよくなる学習機能が確認されており、今回の成果とこれらの機能を複合させることで、最も頻繁に現れた人間の顔のみを記憶するような学習型画像認識システムの開発も考えられ、セキュリティシステムなどに応用されることが期待されるとコメントしている。
(日野雄太)
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