沖ノ島 と Όρος Άθως (アトス山) | 安濃爾鱒のノート

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 沖ノ島が、世界文化遺産国内候補に決まったことで、心配している人たちがいるようだ。
 沖ノ島は、島ごと聖地であり、女人禁制、男も、神職だけが、海で全裸で禊をしたあとでないと島に入ってはいけない、というきまりになっているのだが、世界文化遺産になってしまったら、そういうきまりは守れるのか?という心配である。
 これについては、参考になる前例がある。
 ギリシャ (Ελλάδα) に、"Όρος Άθως"(Oros Athos, アトス山)と呼ばれる山がある。アトス半島の先端に位置し、その周囲の殆どが切り立った崖となっている。つまり、外からは簡単には近づけないような地形なのである。で、この山一帯には、僅かな平地と急な斜面に無理やり建てた(というか嵌め込んだというか岩壁に貼り付けたような建て方の)古風な建物が多数ある。ギリシャ正教の修道院である。それにより、この山は "Άγιον Όρος" (Holy Mountain, 聖山)とよばれる聖地になっている。

アトス山

 1988年、この Όρος Άθως が、ユネスコによって世界遺産に認定されている。
 ここも、入山には厳しい制限がある。"Οι γυναίκες απαγορεύεται"(:女人禁制)、男性でも、基本的にはギリシャ正教の聖職者かそれを補佐する人限定で、それ以外の人が入山するのは全く無理というわけではないが、非常に難しい。このような厳しい入山規制、それも女人規制という面倒なタイプの人たちを敵にしそうな条件も含めて、全ての規制が、世界遺産認定後も守られている。
 だから、沖ノ島も、大丈夫なのではないか。