シリア危機でバラされた「日本国債暴落説」のウソ | 安濃爾鱒のノート

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シリア危機でバラされた「日本国債暴落説」のウソ

 実は米国債の方が不安

 

「シリア危機」が伝えられると、世界の投資家は「比較的安全資産だとみられる日本国債」に

「質への投資」が進んでいる。

  (日経新聞朝刊8月29日付)

 

 おやおや、日経、朝日新聞など全国紙は、

  日本の政府債務は世界最悪水準で

  予定通り消費増税しなければ国債は暴落する恐れがある

と盛んに喧伝してきたのに、いったいどっちが本当なんだい?

 

 日経に代わって、拙論が答えよう。

 日本国債は暴落不安などない。

 財務省やそのお先棒を担ぐメディアにだまされないのが、マーケットなのだ。

 財務省が国民をだます常套手段が、「国の借金」なるもので、その残高が6月末時点で国民1人当たり792万円の借金を背負っていることになる、と発表している。国債の大部分の保有者は日本の金融機関であり、そこに資金を預けているのは国民である。つまり、債権者のはずの国民を債務者にすり替え、しかも、増税を受け入れてもっと税金を払ってこの借金を返しなさいと言うのだから、悪質な詐欺行為である

(詳しくは産経新聞特別記者・田村秀男著「財務省オオカミ少年論」参照)

 

 とはいえ、きまじめな日本人である。

 政府債務の絶対額が経済規模に比べて大きいのは間違いないから、やはり不安だと感じる向きは多い。

 だが、ちょっと待てよ。

 現代の市場経済制度では、資産と負債を対照して信用度を計る。つまり、債務から資産を差し引いた純債務が問題なのだ。そこで、日米両国政府の純債務をみると、2011年度末で日本は473兆円、GDP比97%、米国は14兆8000億ドルで同95%である。日米の債務水準はほぼ同じなのだ。

 


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 日本国債が「やばい」なら米国債は大丈夫なのか。

 実は、米国債の方が日本国債よりも不安一杯だ。

まず、日本国債の90%以上は日本国民の貯蓄で賄われている。その上、「異次元緩和」の日銀が買い増しするゆとりが十分ある。米国の場合、国債の3分の1は外国勢に依存している。外国勢の最大の勢力は中国共産党の支配下にある中国通貨当局や政府系投資ファンドである。北京が米国債を対米戦略のてこに使う恐れをワシントンも強く抱いている。米連邦準備制度理事会(FRB)による国債買い入れも限度に来ている。外国の投資家はそれをよく知っており、米国債よりも日本国債を安全な資産として買い続けるので 円高を引き起こしやすい。日本がデフレを進行させる消費増税に踏み切れば、税収は減り続け、

 増税 → デフレ → 財政悪化

の悪循環から抜け出られなくなる。日本の国と若者の将来をなくし、究極的には日本売りを呼び込むだろう。これまでのようにデフレ日本の国内で使われない貯蓄は、米国に流れて、米国債市場安定に貢献する。ワシントンは日本の増税にニンマリし、国際通貨基金(IMF)を使って、盛んに消費増税を催促している。

(産経新聞特別記者・田村秀男)

 

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ガイジンが日本の消費税増税を迫るのは、

日本の家計が国際金融市場を支えているから

 

 どの国のメディアも 他国の国民の利害の根幹に関わる租税政策には口を挿まないのが普通だ。

 日本や欧州のメディアが米国政府に対して「増税せよ」と迫ることなどありえない。

 ところが、最近の欧米系メディアは事有る毎に、

  日本は 消費増税を予定通り実行せよ

と催促している。

 日本の政治や言論界は「国際社会の声」に流されやすいので、海外の有力紙の論調に感化されやすい。増税に肩入れしてきた日経はウェブ版で 英 The Financial Times 紙 13日付の社説全文を翻訳して紹介した。The Financial Times 紙は 消費増税を

   「挑戦するに値するギャンブル」

   "Alea jacta est"

     (:"The die is cast", 「賽は投げられた」)

として、安倍晋三首相の増税決断を先回りして褒め称える始末だ。

 同じ経済メディアの米 The Wall Street Journal 紙 や通信社の ReutersBloomberg も「来年4月からの消費税率3%の引き上げが決まった」と断定したり、「増税しないと日本国債や日本株の相場が急落しかねない」とする市場エコノミストたちの見方をしきりに伝えたりしている。増税に慎重で、「10月初めに判断する」という安倍首相は国際包囲されてしまった。

 

 それにしても、欧米メディアが 何故こうも執拗に日本の増税を迫るのか。

 考えてもみよ、上記の欧米メディアは何れもウォール街など国際金融市場の利害を少なからず代弁する。これは、

  国際金融コミュニティーとしては

  日本の増税が極めて望ましい

というコンセンサスが裏にあるとみるべきだ。

 現に、米欧の国際金融マフィアが牛耳る国際通貨基金(IMF)は日本の消費増税をせき立ててきたし、先進7カ国グループ(G7)、先進国に新興国を加えた20カ国グループ(G20)はIMFの意向に従う。7月下旬のモスクワG20財務相会議は、「財政再建よりも成長」を重視しながらも、日本には緊縮策の消費増税を求める

という奇妙な声明を発表した。

 グラフを見ればよい。


 


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日本は世界最大の外国向け資金の提供国であり、担い手は家計である。

 

 家計金融資産の多くは銀行など金融機関に預け入れられる。財務省は金融機関から円資金を調達して米国債に投資するし、金融機関自体も外国債券で資金運用する。対外金融資産はことし3月時点でリーマン・ショック直後に比べ、約1兆5000億ドル増えた。この規模は米連邦準備制度理事会(FRB)が増刷したドル資金約1兆7000億ドルに迫るが、FRBマネーは紙切れであり、量的緩和の縮小とともに消え去るのに対し、日本のカネは家計貯蓄という本物のマネーである。FRBが量的緩和を縮小しようとする中で動揺する米欧市場は何よりも Japan Money を欲しがる。日本は「15年デフレ」の間に家計は消費を抑えて現預金を貯めてきた。デフレ不況の国内では貯蓄が投資用に使われないので、余剰資金が海外に流れる。デフレを長引かせる日本の消費増税は米欧にとって死活的利益なのである。 

 

(産経新聞特別記者・田村秀男)

ソース

 

 

国際通貨基金

 【英】International Monetary Fund

 【独】Internationale Währungsfonds

 【仏】Fonds monétaire international

 【西】Fondo Monetario Internacional

 【露】Международный валютный фонд

 【亜】صندوق النقد الدولي