(実写版)ゴールデンカムイ | 羊飼いの戯言

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 コミック版の『ゴールデンカムイ』は明治から大正期の日本・北海道・ロシアを舞台にした冒険活劇。作者のこだわりが凄まじく時に変態的(文字通り)とも言える作品でしたが、一方でアイヌ文化を綿密に取材して再現した点も見逃せず文化的な意味でも読み応えのある作品でした。登場人物も個性豊かなキャラクターが多く、アニメ化はともかく実写化は無理だろうと思われていた作品です。

 

 それが実写化されたので、出来がどんなものかと不安だったのですが、思った以上に評判が良かったので遅ればせながら鑑賞してきました。長い作品の入り口、杉本とアシㇼパが出会ってお互い信頼し合える同志になり冒険に旅立つまでの序章を描いた内容でしたが、作品の持つこだわり、アイヌ文化へのrespectや北海道の自然が持つ美しさ・厳しさ・恐ろしさを丁寧に描いていました。何よりキャラクターを演じるキャストに関しては、本当によく人選が練られていて、キャラクターに合わせてキャストを選んだというよりも、この俳優さんを記号化してキャラクターができたのではないかと思わせるくらいに「ぴったり」の方達ばかりで思わず観ていて笑ってしまうくらいに感心しました。特に主演の二人は勿論のこと、鶴見中尉役の玉木宏の怪演、土方歳三役の舘ひろしの色気ある演技には目を奪われてしまいました。物語が続くほどPG12では描き切れない描写が出てきますし、とても全部は実写化できないでしょうが、制作陣が原作に対して尊重の念を持っていることが伝わってきて、満足感のある作品でした。