#がん治療研究
腸内細菌叢の組成を改善するプレバイオティクス・カムカムと免疫チェックポイント阻害薬(ICI)併用は難治性メラノーマで安全かつ有望な抗腫瘍効果をもたらす【ESMO 2025】
●カムカム→南米原産フルーツ
●ICI単独と比較で1年生存・病勢C率など優位 他

https://medical.nikkeibp.co.jp/inc/mem/pub/search/cancer/news/202510/590681.html

【記事の概要(所要1分)】
南米原産フルーツ「カムカム」に含まれる成分castalaginが、腸内細菌叢を整えて免疫チェックポイント阻害薬(ICI)の効果を高める可能性を示す臨床試験結果が報告された。ベルリンで開催中のESMO 2025で、カナダCHUM Microbiome CentreのMaillou氏が発表。

フェーズ1試験(NCT05303493)では、難治性メラノーマ患者15例にカムカム150mg/日をICIと併用したところ、安全性に問題はなく、病勢コントロール率(DCR)40%、1年生存率56%を達成。完全奏効(CR)1例、部分奏効(PR)1例も見られた。

カムカム単独の副作用はなく、免疫療法薬と同様の安全性プロファイルだった。

代謝解析では、腸内でcastalaginが代謝されて生じるUrolithin A・Cや二次胆汁酸(GUDCA)の増加が奏効例で確認され、これらが有効性の指標になる可能性があるという。

研究チームは2026年に精製castalaginによる新たな試験開始を予定しており、自然由来のプレバイオティクスが免疫療法の鍵となる可能性が期待されている。

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ヒト臨床試験の中間報告ですが、もう少し詳しく調べてみると、登録人数は45人で、従前通りの免疫チェックポイント阻害薬投与に加えて、カムカム由来のプレバイオティクス製剤(要するにサプリメント)を投与するという試験でした。
投与量は1日150mgです。カムカムサプリを毎日飲んだ、ということです。

カムカムそのものにがんをやっつける成分が入っているということではなくて、プレバイオティクスですから、つまり、腸内環境を良くすることによって、免疫チェックポイント阻害薬と何らかの相乗的に効果を成した可能性で考える方が妥当です。

また、こちらはカムカムのとある成分を抜き出した製剤であり、サプリメントでありながら、薬のような位置づけであることも重要な展開で、今後、特に免疫チェックポイント阻害薬の効き目を高めることに特化した、プレバイオティスク製剤が医薬品として扱われていくことを予感させるものです。

サプリ屋さんのわが社としては、気になる展開ではあるのですが、疾病治療用と疾病予防用をそれぞれのフィールドとして、薬とサプリのすみ分けが進むことと思います。