#がん治療研究
コロナmRNAワクチンが免疫を訓練しがん細胞を攻撃するよう導く可能性 生存期間も延長/ミネソタ大※英語
●MDアンダーソン研究
●19~23年ICI(免疫チェックポイント阻害薬)治療あり進行非小細胞肺がん、悪性黒色腫1000人以上解析
●生存期間中央値→摂取群30~40ヵ月:非摂取群26.7ヵ月

https://www.cidrap.umn.edu/covid-19/covid-mrna-vaccines-may-be-able-train-immune-system-attack-cancer-cells-boost-survival?utm_source=chatgpt.com

 

すごいニュースだと思いますよ。

日本の報道ではかなり控えめな表現になっていますので、出来るだけ情報がわかりやすくて豊富なニュースを米国から抜き出してきました。

 

英語のリリースなので、読めない人には難しいと思いますが、現代は便利な時代ですね、AIに翻訳させてみました。

 

ちなみにこの米ミネソタ大学にあるCIDRAPというリリース元は、同大学所属の公的な研究・報道機関で感染症研究と対策を専門としています。

代表のマイケル・オスターホルム博士は、感染症対策の世界的権威で、バイデン政権時の新型コロナ対策チームにも参加していた人物です。

 

以下、内容です。

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「コロナmRNAワクチンが免疫を訓練し、がん細胞を攻撃するよう導く可能性 生存期間も延長」

2025年欧州臨床腫瘍学会(ESMO)で発表されたデータによると、COVID-19のmRNAワクチンを接種した進行期の肺がんや悪性黒色腫(メラノーマ)患者では、免疫療法を始めてから100日以内の接種により、生存期間が大幅に延びることが示されました。

この研究は、テキサス大学MDアンダーソンがんセンターの研究チームによって行われ、2019年から2023年までに免疫チェックポイント阻害剤(ICI)による治療を受けたステージIIIまたはIVの非小細胞肺がん(NSCLC)とメラノーマの患者1000人以上の臨床データを解析したものです。

●ワクチン接種群と非接種群の比較
肺がん患者では、免疫療法を始める前後100日以内にワクチンを受けた人が180人、受けなかった人が704人。
メラノーマ患者では、接種群43人、非接種群167人でした。

ワクチンを受けた患者では、生存期間の中央値が26.7か月から30〜40か月へと延びたことが確認されました。

●ワクチンが免疫療法の効きを高める可能性
免疫チェックポイント阻害剤(ICI)は、体の免疫システムを「再訓練」してがん細胞をより正確に攻撃させる薬ですが、進行がんでは効果が十分でない場合も多いのが現状です。

研究者たちは論文の中でこう述べています:
「mRNAワクチンは、炎症性サイトカインの急増を引き起こすことで、腫瘍を免疫チェックポイント阻害剤に“感作”させる(反応しやすくする)可能性があります。がんを直接標的としないSARS-CoV-2スパイクタンパク質を用いたmRNAワクチンでも、同様に腫瘍を感作できるのではないかと考えました。」

●肺がん患者で生存期間がほぼ2倍に
ワクチンを接種しなかった場合と比べると、免疫療法開始から100日以内にCOVID-19 mRNAワクチンを受けた肺がん患者では、生存期間がほぼ2倍に延びていました。

◎非小細胞肺がん(NSCLC)
→中央値:20.6か月 → 37.3か月
→3年生存率:30.6% → 55.8%
→調整ハザード比(aHR):0.51(死亡リスク約半減)

◎転移性メラノーマ
→中央値:26.7か月 → 測定未到達(さらに長期生存)
→3年生存率:44.1% → 67.5%
→調整ハザード比(aHR):0.34(死亡リスク3分の1)

この研究を発表したMDアンダーソンのアダム・グリッピン医師(PhD)は次のように述べています:
「最も興奮すべき点は、すでに広く使われている低コストのワクチンが、特定の免疫療法の効果を劇的に高める可能性を示したことです。」

データ収集時点でも生存中の患者がいたため、実際の効果はさらに大きい可能性もあると研究者たちは見ています。

生存率の改善は、統計的に条件を揃えた比較(傾向スコアマッチング)を行っても維持されました。また、免疫反応が乏しいタイプの腫瘍でも同様の傾向が見られたとのことです。動物実験でも、ワクチンが腫瘍をICIに反応しやすくしていたといいます。

●「この発見は極めて画期的」

グリッピン医師は続けます:
「mRNAワクチンは、免疫療法を受けている患者の治療成績を改善するだけでなく、これまで治療が効きにくかった患者にも効果をもたらす可能性があると期待しています。」

また、フロリダ大学の小児腫瘍学者イライアス・サイヨール医師(PhD)は次のようにコメントしました:
「この発見の意味は非常に大きい。がん治療のあり方そのものを変える可能性がある。免疫反応を再起動・再構築する“非特異的”ワクチンを設計できれば、すべてのがん患者に使える“汎用がんワクチン”を実現できるかもしれません。」

「もしこれが生存率を倍にできる、あるいはたとえ5%、10%でも改善できるなら、患者さんにとっては非常に大きな意味を持ちます。しかも、がんの種類を問わず応用できる可能性があります。」

●今後の展望と注意点
ただし、著者らは「今回の結果はまだ予備的なものであり、因果関係を確定するには第3相ランダム化臨床試験が必要」だとしています。現在、その試験設計が進められているとのことです。

なお、研究者のうち3名は、フロリダ大学で開発され、iOncologi社にライセンスされたmRNAワクチンに関連する特許を保有していることを明らかにしています。

【まとめ】
-COVID-19 mRNAワクチン接種により、免疫チェックポイント阻害剤(ICI)治療中の肺がん・メラノーマ患者で生存期間が大幅に延長。

-免疫活性化作用により、腫瘍がICIに反応しやすくなった可能性。

-結果は観察研究によるもので、今後の大規模試験で確認が必要。

-専門家は「がん治療全体を変える可能性がある」と期待を示している。

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先のコロナ禍で登場したワクチンにもいくつか種類がありますが、このリリースではどのワクチンかまでは特定されていません。
ただし、mRNA方式のワクチンとされてはいますので、ファイザー・バイオンテックのものやモデルナのものであると見てよいと思います。

こちらは、本家MDアンダーソンのリリースです↓
https://www.mdanderson.org/newsroom/research-newsroom/-esmo-2025--mrna-based-covid-vaccines-generate-improved-response.h00-159780390.html?utm_source=chatgpt.com

サマリー↓
・免疫療法を開始してから100日以内にmRNA型のCOVIDワクチンを接種したがん患者は、ワクチンを受けなかった患者に比べて、3年後も生存している割合が2倍高かった。

・この結果を受けて、mRNA COVIDワクチンをこのタイプの治療(免疫療法)の標準治療に組み込むべきかを検証する、ランダム化第Ⅲ相臨床試験が開始されることになった。

・もしこの結果が検証で裏付けられれば、免疫療法の恩恵を受けられる患者の数を大幅に増やす可能性がある。

もうランダム化比較試験の準備まで進んでいます。
それほど、この研究はインパクトが大きいということです。