#がん治療研究
がんの増殖を抑える仕組みを解明 がんの強力な”ブレーキ役”分子、DA-Rafのメカニズムが明らかに/神戸大
●細胞増殖にブレーキをかける
●Rasの異常が関わる多くのがんに対して、新しい治療薬の開発につながる可能性

https://www.kobe-u.ac.jp/ja/news/article/20251027-67232/

記事の概要(所要1分)】
神戸大学と千葉大学の研究チームは、がんの増殖を抑える分子「DA-Raf」がどのように働くのかを世界で初めて解明しました。

通常、細胞が増えるときには「Ras-ERK経路」というスイッチが入り、がん細胞でもこのスイッチが入りっぱなしになることがあります。

DA-Rafはこのスイッチを止める“ブレーキ役”の分子です。今回の研究で、DA-Rafは細胞膜の脂質(ホスファチジルセリン)にくっつくことで、増殖のスイッチを入れるRasのすぐ近くに位置し、Rasに先に結合して信号を遮断することがわかりました。

つまり、RasとRafが結びつく前に「席を取ってしまう」ことで、がんの増殖を止める仕組みです。

この発見により、Rasの異常が関わる多くのがんに対して、新しい治療薬の開発につながる可能性があります。

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では「Rasの異常が関わる多くのがん」とはどんながんかと言うと、代表的なものとしては膵臓がんがあります。KRAS変異という遺伝子変異が90%以上の症例で見つかっています。
また、大腸がんでは40%、肺がんで25-30%程。

これらの変異は、細胞に「常に増殖し続けろ」という信号を出し続けるため、がんが止まらずに増えてしまう原因になります。

今回の研究でわかったDA-Rafの仕組みは、この暴走したRasの働きを抑える可能性があるため、これらのがんに対する新しい治療法になる可能性があるわけです。

新しい薬の登場に期待します。