衝撃的な映画 | スイス突撃奮闘日記☆ロードオブ移住

スイス突撃奮闘日記☆ロードオブ移住

スイス生活14年目突入。
スイス人パートナーと2019年、2022年生まれの息子達と2024年生まれの娘の5人家族。
スイスでの日常生活、
面白いこと、腹立つこと、
いろいろ日記として書いてます。


先日、映画を観ました。
原題は、12 Years A Slave。
邦題は、それでも夜はあける、で日本では、来月3月から公開されます。


{E125562E-4C8D-4AE1-A42F-331F8471BE70:01}




この映画は、実話に基づいています。


裕福なバイオリニストとして活躍していた一人の黒人が、ある日突然、白人に裏切られ、誘拐され、奴隷としてアメリカ南部へ売られるんです。
その後、いろんなところで転売され、いきついたところが、黒人を人間でなく物扱いし、虐待しているひどい農家。
それらを経験したことを手記にして出版されたものが、映画のもととなっているんです。


もともと、読み書きができた奴隷が多くなかったこともあり、この本はベストセラーとなったようです。


この映画、とても残酷なものでした。
監督が黒人ということもあり、過激なシーンも結構あります。
白人の監督なら心理的な圧迫もあったりで、あそこまでは描けないだろうなと感じます。
何せ、この映画、目を塞ぎたいシーンもあって、みているこっちが、奴隷になった気分になり、とても心が痛みます。


それでも、必ず観てほしい。
すでにアカデミー賞ノミネートですが、きっと、今年の映画でナンバーワンではないかと思います。


普段生活していると、外国の実態を目にすることはあまりありません。


けれど、自分自身が外国人扱いされるヨーロッパのど真ん中のスイスに住んで、つい最近の選挙の議題だった、移民制限の話題なども含めて、とかくこの頃、人種だとか、差別だとか、そういうものに敏感になりました。


こういう映画をみることによって、何かしらの考えるきっかけを与えられて、内省したり自分の行いを客観的にみて、そして俯瞰することが、できるのではないかと思うんです。


この映画のプロデューサーはブラッドピット。
自身も重要な脇役として出演していますが、セリフが心に響きます。
’’彼らはニガー(黒人を指す差別用語)じゃない、人間なんだ”
この映画によって、先進的なアメリカ北部と、まだ差別的意識の高い南部との間にある、政治の軋轢をどうにかしたいという思惑もあったのではないか、というレビューをどこかで観ましたが、もしそれが本当なら、プラピはやってることがデカイですね。
尊敬します。


日本人は、どこにいっても暖かく受け入れられることが多い「人種」だと思います。
けれど、そうでなかったら?
もし自分が虐げられる立場の人間だったら?
そしてその理由が、とても理不尽なものだったら?


チューリヒで差別的待遇を受けた黒人。
国内で紛争が絶えない国の出身者達。
そんな人が、まわりにいる。


何も黒人だけの話じゃない、全部、つながっている。


全人類が、この映画を観たらいいのに。