ダヴィッド・モロー&グザヴィエ・パリュ監督脚本のスリラー。


「絶対に結末を明かさないように」

この常套句を間に受け、なんとか結末を見る為に

思った以上に退屈なフランス夫婦の逃走劇に集中する。


そして絶望的なオチ。

文字通り絶望的だ。


2002年ルーマニアで起こった事件を基にしたこの映画は

日々ニュースで凶悪犯罪を嫌というほど見慣れている我々にとっては

ある意味、実にとるに足らない結末で終わる。


ストーリーはシンプルだ。

ルーマニアに住むフランス人夫婦を謎の集団が襲う。

逃走の果てに、絶望的な結末が…。

そして「謎の集団」の正体とは。


この映画は、途中夫婦を追う謎の集団のことを、結局謎のまま

何一つ憶測させるほどのネタもださず、なんとなく最後のオチに到達してしまう。


一直線なストーリー展開のため、そのオチはあまりにも唐突で「意外!」と感じるまでもない。

観客にショックを与えたいのなら、観客が「謎の存在」を劇中で予想した上で、それを上回る

オチを見せなければいけないのではないか。


普通のサスペンスなら、ミスリードさせるような描写の1つや2つは挟んでくるだろう。

しかしこの映画は、観客に「謎の存在」を予想させてくれるような、ヒントを与えない。

それはつまり、劇中で逃げ惑う「夫婦」と同じ立場になってくれ、ということだ。

「夫婦」が分からないことは、すなわち観客も分からないのだ。


恐らく製作者たちはラストのオチで驚愕してほしいのだろう。

しかし昨今、この手の犯罪は巷に溢れている。


いや我々の日常はもっと残虐になってしまっている。

世界に冠たるジャパニーズカルトの金字塔、

石井輝男監督の1969年10月31日公開の映画

「恐怖奇形人間」をやっとのこさ観た。

自分が生まれたのは1969年10月19日だから

生後12日後に公開されていることになる。


もう既に相当語られている映画なので、あまり改めて言うこともないのだけれども、

思いのほかいい映画でちょっとびっくりした。


光と影の陰影が美しいカメラにまず強く目を引かれる。

女優の美しさに目を奪われる。

秀子・初代を演じた由美てる子の可憐で美しいこと!


語り口もよく、すんなりと作品世界に入ることができる。

奇形の描写が想像していたよりも、随分と大人しくてそこが少しがっかり。


常人が奇形を差別することから生まれてしまった悲劇として描かれている

ので、最後の噂の人間花火も実は凄く感動的なのだ。


いやほんと見てよかった。

上映時間も99分。だれることなく一気に観れてこれも◎。