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ニャンコ先生の声は愛川欽也

「au」が「iPhone」の発売を決定した。

とは言っても、私は大して興味はない。
確かに今現在、わたくしは俗に言う「スマフォ」ではない。
しかしながら何ら困ってはいないし「スマフォ」の必要性を感じてはいない。


先日所用で東京に赴き、交差点で信号待ちをしながらやおら携帯を取出すと周りの人々も私につられたのか皆、携帯を取出した。
しかし私と違うのは画面をなぞる「スマフォ」独特な動きだ。
私は一人だけボタンをボチボチ押す違う動きだと

「うわっ、コイツの携帯古っ!この田舎もん……田舎っペ…よしっ!君を今日から「風大左衛門」と呼ぶぞ。大ちゃん、キャット空中大回転っ!」

などと思われてはいけないのでスライド式の携帯の画面を指でなぞってみた…りは決してしていない。


ニュースペックかつフルスペックの最新携帯を買ってさり気ない自慢をしようと今のスライド式でタッチパネル付の携帯にしたが、自慢する暇を与えないぐらいの期間でiPhone、その後ぞくそぐとスマートフォンが発売され一瞬にして中途半端な機種と化してしまい、挙句の果てには

「何それっ!?スマフォ…モドキっ!?うわっ…ウケるんですけど。」

などと言われしまうので人前ではスマフォっぽいタッチパネルなしぐさで操作して…なんて決っしてない。


先日そのスライド式携帯の電源が一切入らなくなり、修理に出そうと思ったが、数ヶ月前にも画面の不具合で修理に出して

「こちらの携帯…ガッツリ『水没』してますね…。」

と安くない修理代を払ったばかりなのでどうしようかと以前使っていたボロッボロの古い携帯を引っ張りだして使い

「いや。俺って携帯なんて全く興味ないのさ。」

と男臭ささを演出しつつ、その後

「壊れちまったから携帯換えにいったらもうスマート…ホン…つうの?それしか無くてさ。」

と決して流行に踊らされた訳ではなく、仕方なくスマートフォンになったと思わせたい…訳でも絶対ない。


だから私は携帯を修理に出した。




一週間後・・・・・。





無償で修理されて
新品同様で返ってきた



a○のバカ………。



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志村けんが呼んだ記憶②

今まですべての所作がモアスローリーだったにもかかわらず、皮に当てながら剃刀を研ぐ動作だけがとてもスムーズなおばあちゃん。
わたくしの中の不安はいつしか妄想に変化し、

「血に飢えた剃刀に操られた恐怖の理髪店に巣くう老婆」


という物語が頭の中を駆け巡っていました。



その剃刀はわたくしの喉笛を引き裂いて・・・・・・・。



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「失礼いたします。」

その小さな声でわたくしは妄想から呼び戻されました。
おばあちゃんは微笑んでいます。
わたくしの中ではもうその微笑みに恐怖を感じずにはいられませんでした。

そんな恐怖をおばあちゃんは知ってか知らずか、剃刀をわたくしの喉笛・・・ではなく頬へとあてました。


剃刀の刃はわたくしの皮膚に深く突き刺さる・・・どころかあたっているというよりただ撫でられているかのような感触。

わたくしは納得しました。

きっとおばあちゃんはお客さんを傷つけることを恐れ、「髭を剃る」というより「髭剃りをした」ということにした為の要員なのではなかろうかと。
喉元をカッ切られるよりは剃り残り、というよりは一本も剃られていなくともそちらの方がいいと、わたくしはなされるがまま、その「髭剃りをしている感じ」が終わるのを待ちました。
それでもおばあちゃんのその「髭剃り風」は耳を撫でる徹底ぶり。
わたくしはその細さに心の中で苦笑せずにはいられませんでした。

全てを撫で終えたおばあちゃん。
またも適温の蒸しタオルで私の顔をやさしく拭きあげ、

「失礼いたしました。」

と小さい声で言うと、出てきた住まいと繋がっているであろう入口へと変わらないモアスローリーな歩みで消えていくのでした。

過ぎ去った恐怖と知ってしまった事実にわたくしは苦笑いをし、残っているであろう髭を確認するように自分の顔をさわった瞬間、わたくしは驚愕したのでした。

それは今まで触ったことのない程自分の顔がツルツルだったのです。
よく触ってみると顔のどこにもまた耳たぶにも髭はおろか産毛一本も残っていませんでした。
わたくしは言葉を失いました。
そしておばあちゃんの素晴らしい「髭剃りテクニック」に感激しつつも、おばあちゃんを疑い、そして誤解していた自分を恥ずかしく思いました。

「どうかしました?」

驚きの表情を浮かべていたのでしょう。
髪を切ってくれたおじさんがわたくしの方へとやってきて最後の仕上げのセットに取り掛かりながら聞きました。


「・・・い、いいえ。」

わたくしは何もなかったかのように振舞おうと務めましたが、再び言葉を失いました。

何故ならこの時生まれて初めてかけたパーマがどっからどうみても「穂積ぺぺ」にしか見えなかったからです。


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今思うと、あのパーマって「アイパー」だったんだね・・・(泣)。

志村けんが呼んだ記憶

先日、ひっさし振りに「志村けん」のコントを観ました。

そのコントの中で、お決まりのシチュエーション。

ふらりと入った「理髪店」。
お決まりのヨボッヨボの志村けん扮する理髪店の店主に髭をあたってくれと頼むも、小刻みに震える手で扱う剃刀。
「大丈夫か?」と聞く客に、顔を描いた風船で試し剃りをするが片っ端から割ってしまう・・・。



思い出しちゃいました。

それは、このわたくしがまだ青い果実だった頃の出来事。

一見して長年何代も理髪店を営んでいるのであろう佇まいの店。
本来ならばお年頃のその頃のわたくし(チェリー・ボウイ)は美容院に行くべきなのだろうが、恥ずかしがり屋のTOO SHY、SHY BOYだったその頃のわたくし(Aは経験済み)はその老舗理髪店に足を運んだのだった。

散髪、そしてシャンプーを終え少し待っていると今までわたくしを担当していたおじさんは隣に座るお客さんの散髪に取り掛かりました。
すると奥の、おそらく自宅と繋がっているであろう入口からさすがは理髪店、と髪はきれいに結ってありますがいかんともその歩みがモア・スローリーなおばあちゃんが微笑みながら、そしてちっちゃい声で

「いらっしゃいませ・・・」

と言いながら牛歩戦術ながらも確実にわたくしに向かってやってくるのでした。

シャンプーの後のこのタイミング。
理髪店なのでこの後やってくるサーヴィスは「髭剃り」以外にありません。


わたくしはあまりのおばあちゃんのその動きの遅さに一抹の不安を感じずにはいられませんでした。

蒸しタオルをわたしの顔にかけました。

そのタオルが激熱・・でもなく幸いにもその蒸しタオルは適温でした。
しかしながらすぐさま安心はできません。
「髭剃り」のデンジャー・ゾーンはまだまだこれからなのですから。

蒸しタオルを外されました。
おばあちゃんは微笑みはそのままに陶器で出来た髭剃りの泡の入れ物を筆で泡立てています。
確実に泡立ってはいますが、小刻みに動かしているその右手が泡立てるために動かしているのか、いっつもそんな動きなのかが伺い知れず、わたくしの不安は更に大きくなっていくのでした。


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泡立ちに満足したのかおばあちゃんはその器を持ってわたくしに近づいてきます。
緩慢な動きで。
そしてわたくしの顔に泡を塗ります。
泡を鼻の穴とか口の中とかに塗り込んで・・・くる事もなく優しい筆さばき。

そしておばあちゃんはわたくしの不安を知ってか知らずか、微笑みながらキラリと光る剃刀を皮のような道具になすりつけて研ぎ始めたのでした・・・。



                                          【つづく】