イタリアの怪物、シアトリカルドゥームパワースピードインダストリアルサタニックオカルトホラーメタルバンド、イロモノ感が強すぎてシリアスに捉えられにくいかもしれないが、本国では高い人気を誇り、長い活動歴の中で激しいメンバーチェンジ繰り返しイメージや音楽性を変化させ現在も活動している。


DEATH SS


77年、ペーザロでVoのスティーヴ・シルヴェスターを中心に結成される。初期はドゥームというかオカルト、中期は正統派、後期はインダストリアルっぽくなって、いずれの時代も過剰にシアトルカルである。
91年の代表作。


HEAVY DEMONS


初めてDEATH SSを知ったこのアルバムは衝撃だった。
彼らの作品中最も正統派のメタルでメジャー感があり、世界レベルに達しているのではないかと思う。
スティーヴの唱法に独特のクセがあるからそれが気になるとダメかもしれないが、独自の世界観に統一された良曲が連発、一つの作品として文句の付けようのない完璧なアルバムであり最高傑作。音質も良い。

おとぎ話のような宗教的な不気味な長いイントロの後、シングルカットもされたオープニングにふさわしい代表曲 “Where Have You Gone?” がスタート、ヘヴィさとスピード、不気味さと独特のポップさを併せ持つ、凝った構成のかなり激しいメタルを叩きつけてくるが聴き苦しさはない、メロディのしっかりしたキャッチーさがあり演奏力の高さもあってゾクゾクするような興奮とともに彼らの世界に一気に引き込まれる。
続く “Heavy Demons” も強力曲、このアルバムを代表するリーダートラックで、これまた最高にキャッチーなサビのコーラスを聴くと思わず一緒に歌いたくなってしまうほど。
全編通してギターの上手さが際立つ、各曲で目の覚めるようなフラッシーなソロを披露している。



ドラマティックさを追求しすぎて少々退屈な曲もあるが、彼ら流スピードメタル ”Peace Of Mind” や “Inquisitor” などの緊張感で要所を締めている。
個人的にその2曲の間にある “Baphomet” は最も好きな曲、軽快でメロディアスでありながらはらわたをえぐるようなヘヴィなギターリフが気持ちいい。
オジーやアリス・クーパー、KISSやMANOWARとかKING DIAMOND、聖飢魔IIなんかのシアトリカルな、あるいはジョーク的な部分も楽しめる人はこのバンドの良さが分かると思う。バカバカしさをカッコ良さや楽曲、演奏力などのプロフェショナルさでねじ伏せるあの感覚だ。



歴史あるバンド、まともに書いてたらきりがない、持ってるの簡単にコメントしていこう。


THE STORY OF DEATH SS


87年に出た初期デモを集めたコンピレーション。ギタリストにイタリアンドゥームの重鎮、ポール・チェインが参加している。おどろおどろしさというかカルト臭ハンパない、だからこの時期はあまりお勧めしない。

DEATH SSとして正式な1stはこれになるのかな?
88年のフルアルバム。


…IN DEATH OF STEVE SYLVESTER


うかつに近寄れない迫力。でも内容は悪くない、かっちりしたパワーメタル感が出て、らしさはこのアルバムで早くも確立されている。
過剰に芝居がかっているのとVoの聴き辛さがネックかな。良く言えばアリス・クーパーっぽい、悪く言えば下手。
当然ショックロックの祖である彼からの影響も強いようで “I Love The Dead” のカヴァーもやってる。

89年の2nd。


BLACK MASS


だんだん聴きやすくなってる。音質も楽曲の質も良くなり、少々シアトリカルな正統派として楽しめる。“Cursed Mama” とか “Devil’s Rage” などは次作「HEAVY DEMONS」につながる良曲。

最初に書いた91年に「HEAVY DEMONS」が出て、そこからのシングル。


WHERE HAVE YOU GONE?


未発曲収録。

92年のライブアルバム、なぜかSYLVESTER’S DEATHにバンド名を変えている。


THE CURSED CONCERT


スタジオ作を上回る全盛期の強力ライブアルバム。
中に壮絶なライブを展開していたであろう写真がコラージュされているのだがヤバすぎて載せられない。

同じくSYLVESTER’S DEATH名義のEP。


STRAIGHT TO HELL


新曲 “Straight To Hell”、“Heavy Demons” の’92リミックス収録。

長い空白期の後、時代に合わせようとしたのかインダストリアルっぽくなるのだが、

97年、4th。


DO WHAT THOU WILT


2000年の5th。


PANIC


改めて聴いてみると音楽性は本質的には変わってないように思える。イメージがそれらしくなってるだけで。
“Hi-Tech Jesus” なんて曲自体はメロディアスで全盛期と変わらない。原始的な悪魔がハイテクを身に付けたのだ。
キーボードが大幅にフィーチュアされるようになり、曲によってはシンフォニックメタルな要素もある。



このアルバムを最後に追わなくなった。
情報もなかったし日本では全く話題にならなかったな。

今回調べるに当たって2018年の最新作「ROCK’N’ ROLL ARMAGEDDON」のPVを観てみたら一時期のインダストリアル感が薄まり、KISSやアリス・クーパーのようなキャッチーでポップな感覚が戻っている。名作「HEAVY DEMONS」思い出させてくれてとても良いと思った。
バンドメンバーは常に替わっていて若いメンバーもいるのだろうがスティーヴ自身は恐らくもうかなりの高齢のはず、頑張ってほしい。。などと思いつつ調べたらまだ58才、そんなに若いのか。てことはなんだ、17才でこのバンドを始めたことになるぞ?ほんまか?凄いな。



“Where Have You Gone?”


”Peace Of Mind”


“Baphomet”


“Inquisitor”


“Heavy Demons”


“Hi-Tech Jesus”


“Rock ’N’ Roll Armageddon”


Black MassBlack Mass
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Heavy DemonsHeavy Demons
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The Cursed ConcertThe Cursed Concert
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