80年代半ばごろ、イギリスのハルにEBONYというレコード会社があった。



当時、世界各国に無数にあったメタル専門マイナーレーベルの1つだが、その活動は活発で短い期間であったにも拘らず、かなりの数のバンドを輩出していた。
奇跡的にSHYとGRIM REAPERという世界的バンドを出したが、その他のほとんどは日の目を見ることのなかったUnknown Soldiers、単なるマイナーバンド群だった。

オーナーはダリル・ジョンストンという人物なのだが、彼が自らプロデュースを行うことが多かったのでEBONY所属のバンドはどれも基本的に音が同じ。マニアにはその特徴的なギターの音でバンド名を見なくても「お、これはEBONYだな」と分かったぐらいだった。
また音の悪さでも有名なレーベルで、大体においてもやがかかったようなキレの悪いこもった音のレコードを出し続けていた。ま、マイナーレーベルだからしかたがない。彼も少ない予算で出来るだけのことはやっていたのだろう、功績を考えると責めることはできない。
EBONYを離れメジャーに移籍したGRIM REAPER(アメリカのチャートに入るぐらい売れたから)その3rdアルバムを手がけることになったプロデューサーのマックス・ノーマン。LOUDNESSやOZZYなどで有名、彼がGRIM REAPERの以前のアルバムを聴いて、あまりの音の悪さに絶句したと言う。

EBONY所属のバンドはおおよそ二つのタイプに分けられる。1つはSHYのようなメロディアスなタイプ、もう1つはSAVAGEのような激烈型。そう、以前紹介したSAVAGERANKELSONもEBONYからアルバムを出していた。RANKELSONはどちらかというとSHY型、ややソフトな面を持っているからな。


BLADE RUNNER


このBLADE RUNNERはその中間ぐらい。
83年にロンドンで結成された5人組。84年の1st。


HUNTED


オーソドックスな英国メタルで特筆するところはさほどないが、1曲目の "Too Far Too Late" は名曲とは行かないまでも、とても良い曲だと思う。この曲を好んで聴いていた。
いかにもイギリスのバンドらしい憂いを含んだサビのメロディと、フルピッキングで猛烈に弾きまくるギターソロは最高にスリリング。

86年に2nd「WARRIORS OF ROCK」を出した後消滅したが、その短い歴史にも関わらずEBONYマニアに強烈な印象を残した。


WARRIORS OF ROCK






"Too Far Too Late"


"Snowqueen"


"The Verdict"


ちなみに1stジャケを描いた人物、ゲイリー・シャープはEBONYから発売されるレコードのジャケがあまりに酷い絵であることに我慢出来ず、自分の描いたイラストをEBONYに持ち込んだところいきなり採用されて、その後彼はEBONY専属の画家として数多くジャケ画を手掛けることになった。